IT業界研究に使えるIT&SIer業界地図|就活&転職活動に有効です

IT業界研究

IT業界に興味のある人
「IT業界研究をしています。WEB系やSIerが気になるな。
しかし、IT業界は広すぎて、整理がつかないなぁ〜・・・
 
業界地図を見ながら、企業の立ち位置を確認したい。
あとSIerってどんな事業を行なっている会社?」

こんな悩みを解決します。

15年間、ずっとエンジニアとして働いてきました。今でこそ腰を据えて仕事ができており、年収1,000万円プレイヤーになりましたが、若いうちは不安も多くて、もう少し業界研究をしておけばよかったなとか、もっと違うエンジニア人生もあったかな、とか悩んだ時期も長かったです。

思い返せば『論文書くのに忙しい』『学生のうちにやっておきたいこともある』といって、十分に業界研究をしなかったことは後悔しています。就職後はしばらく、自分の性格や将来像と仕事内容との間のミスマッチに悩みました。。

たぶん世の中には私と似た悩みを持っている方がいると思うので、そういった方向けに記事を書きます。この記事が、IT業界で働きたい方々のロードマップとなれば幸いです。

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本記事の内容は2つです

IT業界で15年働いて判ったIT業界地図を公開します

IT業界の全体像

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この地図の3つの分類(テクノロジー/システム構築&保守/ビジネス)に沿って、内容を順に解説していきます。

IT業界を3つの視点でIT業界を分析します

地図を見ながらでお願いしますm(_ _)m

  1. IT x テクノロジー
  2. IT x システム構築&保守
  3. IT x ビジネス

1.IT x テクノロジー

IT業界といえば、テクノロジーに強みを持つ企業と思われるかもしれませんが、実はそうした企業はIT業界の中でも一部です。

ハードウェアやネットワーク、クラウドといった、最新のテクノロジーを強みとしている企業グループを解説します。

ハードウェア業の役割と代表的企業

ハードウェア業の役割と代表的企業

SIに欠かせないサーバやストレージなどのハードウェアを製造するメーカーです。 この業界もSI業界との親和性が高く、ハードウェア業を手がける多くの企業がSI業界にも進出しています。一方、Appleのように製品の販売とその関連サービスに特化し、SI事業に参画しない特色のある企業もあります。

どんな事業をしている?

ハードウェアの製造を主力事業としている

例えば、
・家庭向け、エンジニア向け、デザイナー向け、法人向けなど様々な用途で用いられるコンピュータの製造
・スーパーコンピュータの開発

代表的な企業

Apple(3.83)
ヒューレット・パッカード(3.40)
富士通(3.08)
NEC(3.15)

ハードウェア業について詳しくはこちら

通信ネットワーク業の役割と代表的企業

通信ネットワーク業の役割と代表的企業

インターネットや法人向けの専用線、家庭用のプロバイダなどの事業を行う会社です。ネットワークはシステム構築に欠かせない要素ですから、こちらもSI業界との関連が深い業界です。

どんな事業をしている?

個人または法人に対してネットワークインフラを提供するすることを主力事業としている

例えば、
・アマゾンや楽天などのECサイトがお客様からのネットからのアクセスを受け付けるために使うネットワークを構築する
・個人のスマートフォン向けにインターネットを提供する

代表的な企業

NTTドコモ(3.39)
ソフトバンク(3.52)
KDDI(3.31)

通信ネットワーク関連事業者について詳しくはこちら

2.IT x システム構築&保守

IT業界では企業がビジネスを行うための手段としてITテクノロジーを使います。システム構築&保守に強みを持つ企業は、テクノロジーを組み合わせて個別のビジネスに合ったシステムを作る企業グループです。

システムを作るときに最も難しいのは、何を作るかを決めること。つまりシステム構築の前段階の検討がとても大変で、ここに強みを持つのがコンサルティングファームです。そして、システム構築と保守に強みを持つのがSIer(情報サービス業)です。

コンサルティングファームと代表的企業

極端な例ですが、もしあなたがそれほどITに詳しくない会社経営者で、システム構築を頼むならどちらの人物でしょうか?

  • ①社会人としての広い知見はあまり無いが、ITには詳しく、最新技術にも精通したコテコテの技術者
  • ②会社経営の基本的な知識を持ち社会人としての教養のあるITコンサルタント

おそらく①の人では経営者と会話もままならないため、②の人とどのようなシステムを作れば良いか話し合いたいと思うでしょう。実際のシステム開発になれば①の人が大活躍するでしょうが、まずシステム構築の最初の段階で何を作るかを考える上では②の人が必要です。

IT業界におけるコンサルティング業とは、上記の例の②の人の仕事内容に相当します。会社経営を理解したコンサルタントが、IT戦略の策定やその支援を行います。

IT業界におけるコンサルティング業の役割と代表的企業

IT業界におけるコンサルティング業の主な役割は、ITで「何を作るか」を企業に助言することです。

ただし、企業がコンサルタントに期待する課題解決はIT戦略だけではなく、多岐に渡ります。クライアントである経営者から見れば、ITは経営課題を解決する手段の一つに過ぎません。

ですからコンサルタントは、IT以外の方法で企業が目標達成するための手段を提案することもあります。また、ITで「何を作るか」を助言するだけに止まらず、実際の構築(SI)まで請け負うこともあります。

どんな事業をしている?

企業の参謀として、経営戦略に直結するIT戦略の策定を支援する

例えば、
・海外ハイテク企業の買収に関するアドバイスを行う
・会計業務見直し(効率化・迅速化・会計精緻化)のために必要なシステムの導入提案、
導入後の業務マニュアルの準備を行う

代表的な企業

カッコ内はVOKERSより個別企業の評価を抜粋(最大5.00点)
マッキンゼー・アンド・カンパニー(4.55)
ボストン コンサルティング グループ(4.48)
アクセンチュア(4.13)
PwCコンサルティング(3.62)

情報サービス業の役割と代表的企業

SI事業やソフトウェア開発を主力事業としている企業のことです。

情報サービス業の役割と代表的企業

一般企業向けにシステムを構築したり、既存システムの保守を行う企業のことです。また、システムが使うソフトウェアを開発する企業も情報サービス業に含まれます。

ハードウェアやネットワークの調達から、OSやミドルウェアの導入、個別システム固有のアプリケーション開発と、業務は多岐に渡ります。

どんな事業をしている?

企業システムのことは何でもお任せ

例えば、
・銀行で振込み手続きをした時、銀行間で決済業務を行うためのシステムの構築
・自動車の製造管理や品質管理を行うシステムの構築

代表的な企業

NTTデータ(3.72)
日本IBM(3.69)
SAP(3.70)
ワークス・アプリケーションズ(3.46)

アプリケーション開発について詳しく知りたい方向けの記事

3.IT x ビジネス

ビジネス

IT業界とビジネスの関係は主に2つあります。1つはAmazonのようにネットビジネスを目的とした企業、もう1つはメガバンクのように、ITシステムを使う顧客企業です。どちらにも多くのエンジニアが働いていまして、IT業界の主要プレイヤーと言っていいです。

ネット関連業の役割と代表的企業

インターネットを通じて、各社が全く異なる事業を展開しているのが特徴です。

ネット関連業の役割と代表的企業

googleやAmazon、Facebookなどの世界的企業もネット関連企業です。

IT業界、特にSIerにありがちな多重下請け構造がないため、中小規模の会社でも独自のビジネスを展開できることから、社員にとっては働きやすい企業が多いです。

しかしそれは大企業からの積極的な支援を受けられないというデメリットもあり、トップ企業を除くと給与水準は一般に低い傾向があります。

どんな事業をしている?

ネットを主力とした独自のビジネスを展開する

例えば、
・ネット証券
・ECサイト
・ネット広告

代表的な企業

楽天(3.58)
GMOインターネット(2.88)
サイバーエージェント(3.95)
メルカリ(3.90)

WEB系企業への就職&転職ならこちらの記事の方が参考なります

さらに関連企業について詳しく知りたい方はこちら

WEB系 非エンジニア職(経営・企画・営業)向けの情報

2つ目の地図:SI業界地図とその代表的企業

ここからは、先ほどIT業界地図で解説した中の「システム構築&保守」に関わる企業グループについて、もう1段深堀りして解説したいと思います

この分野の主要プレイヤーであるSIer各企業の成り立ちと強みによって、①〜④の4つに分類しました。

SI業界の詳しい解説

SI業界地図とその代表的企業(企業の軸)
 
SI業界地図とその代表的企業(図本体)

SI業界地図もくじ

SIerとは

SIerとは

SIerとは、顧客企業の要望するシステムの構築やその運用をする企業のことです。ちなみにSIerは和製英語で、海外ではシステムインテグレータ(System Integrator)と言います。

SIerはIT業界では最も歴史があり、1960年代から日本の様々なシステムを開発してきました。銀行や証券など、ニュースや新聞に出てくるシステムはほぼ全てSIerが作っていると考えていいです。

SIerについてはこちらの解説を御覧ください

SIerの仕事内容はこちらをご覧ください

» 参考:「SIerはやばい」と語るひろゆきの主張は完全に間違っている

①IT系コンサル

IT系コンサルティングファームは、主に企業経営の支援に携わってきたコンサルティングファームがSI事業に参画したケース。開発や保守といったSI業務全般を請け負うのではなく、IT戦略や構築したいシステムの要件定義支援といった、上流工程のみを請け負うのが一般的です。ただし企業によっては、システム開発まで行うケースもあります。

ユーザ企業のプロジェクトマネージャや経営層にアプローチし、顧客目線でプロジェクトに参画するのが特徴です。

一般にコンサルタントと呼称されますが、その実はSIerの仕事をしています。

IT系コンサルに就職・転職した社員は、主にどんな仕事をしている?

システムコンサルタントがシステム構築の初期段階でプロジェクトに参画し、顧客企業のプロジェクト立ち上げを支援します。プロジェクトの最も難しい所を支援することで、単価の高い仕事を請け負います。

代表的な企業

アクセンチュア(4.13)
アビームコンサルティング(3.91)
ベイカレントコンサルティング(3.55)

詳しくはこちら

②メーカー系SIer

メーカー系SIerとは、富士通やNECなどのIT製品メーカーがSI事業を展開しているケースのことです。

企業にとっては、SI事業を通じて自社製品を販売する事で、相乗的に利益を拡大することができるため、法人部門のあるITメーカーはSI事業に参画するケースが非常に多いのです。

メーカー系SIerに就職・転職した社員は、主にどんな仕事をしている?

システム構築を通じて顧客企業にサーバやソフトウェアなどの自社IT製品も販売することで、システム構築・製品販売のダブルで売り上げをあげる。

代表的な企業

富士通(3.08)
NEC(3.15)
ヒューレット・パッカード(3.40)

詳しくはこちら

③ユーザー系SIer

ユーザ系SIerとは、金融機関や製造業、商社など直接ITビジネスを行なっていない企業がSI事業に参画したケースのことを言います。

大手企業なら、現代ではシステムを導入しない会社はありません。こうした大手企業は、最初は富士通やNECのようなIT専業の会社にお願いして丸ごとシステムを作ってもらっていました。

しかしシステムの導入を繰り返すうちに、導入の経験が社内に蓄積してきます。そこで「システム子会社」を作り、そこでシステムを作るようになります。

システム子会社は富士通やNECほど技術は無いのですが、作りたいシステムのイメージを整理して富士通やNECをコンペにかけたり、自分達でできるものは委託せず内製化します。自社のシステムやその業界で使われるシステムの仕組みについては富士通やNECよりも詳しくなりますから、そうした業務知識やシステム導入経験をパッケージ化して親会社以外の他社にも販売するようになります。

これがユーザ系SIerです。顧客企業にとっては身内のようなものですから、最も扱いやすいSIerと言えます。大手企業ならばシステム子会社を持っているのが一般的で、非常に多くの会社が存在するのもユーザ系SIerの特徴です。

ユーザ系SIerに就職・転職した社員は主にどんな仕事をしている?

親会社へのシステム導入経験を活かして、親会社や親会社の同業他社向けにシステム構築や保守業務を行います。安定した企業が多く福利厚生も含めた労働環境は整っていますが、仕事の進め方や企業文化は親会社の影響を受けるため、各社で特色が異なります。

代表的な企業

伊藤忠テクノソリューションズ(3.45)
新日鉄住金ソリューションズ(3.88)
電通国際情報サービス(4.07)

詳しくはこちら

④独立系SIer

独立系SIerとは、メーカー系SIerのようなITメーカーではなく、ユーザ系SIerのように親会社があるわけでもなく独立してSI事業を展開する企業のことです。いずれも、独自の強みを活かしてたくましく生き残ってきた企業ばかりです。

独立系SIerに就職・転職した社員は主にどんな仕事をしている?

親会社からの支援が受けられないため、一般に給与水準は低い傾向があります。客先常駐など派遣体質の企業が多いので各個別企業の労働環境には注意が必要で、経営の安定性にも課題が生じます。

こうした課題を克服して成長し続けてきた日本ユニシスやオービックなどは優良企業です。

代表的な企業

日本ユニシス(3.29)
オービック(3.66)
富士ソフト(2.82)

詳しくはこちら

SIerの将来性

SIerの将来性を見極めるためには、前述の「顧客企業の要望するシステムの構築・運用」と言うニーズが今後も継続するのか?というのがポイント。

結論からいうと、今後もこうしたニーズは継続します。

確かにGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)のうち3社はWEB系で、Appleもメーカーです。

googleをはじめとするWEB系企業は、SIerとは比べ物にならない飛躍的な成長をしていますから、WEB系の方が将来性が高いのでは?と思われるでしょう。

ただ、GAFAに就職するのならば良いのですが、それ以外のWEB系企業は前途多難です。

大企業も中小企業も、GAFAに競合すれば、飲み込まれてしまうからです。

GAFAのサービスが拡充するたび、周辺事業を行なっているWEB系企業は経営が成り立たなくなってしまいます。

一方でSIerは、GAFAと直接ビジネスが競合しません。そして私の会社も、毎年開発規模が過去最高を更新しています。

もちろん今後、短期的には大規模システムの構築案件が落ち着いて需要も減る局面はあると思います。

しかしシステム構築の需要は時代とともに変化しながら継続するため、かつて数十年に渡って変化し続けてきた大手を中心としたSIerは環境の変化にはとても強く、十分な将来性があります。

SIerを中心としたIT業界の将来性については、以下の記事をご覧ください。

SIerに就職するより、アプリをバリバリ開発したい人向けの記事

数あるSIerの中でも私がおすすめするのは、一人当たりの売り上げが高く、継続可能なビジネスモデルを持った安定したお金持ち企業です。

IT業界と言えば、かつては労働時間が長く、サービス残業も多かったのですが、今日ではどの企業でもコンプライアンスの遵守が社内のリスク管理の最重要テーマとなりました。サービス残業や年休の未取得といった問題は大手のお金持ち企業ほど真摯に対応しています。社員だけではなく、関連会社や下請け企業の社員にも配慮するほどです。

このようにしっかりとしたリスク管理ができ、将来のために社員に投資ができ、給料も良いお金持ち企業を以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

もうひとつの地図:SIer業界ピラミッド

プロジェクト単位で各企業の役割を図示するとピラミッド型になり、各企業の業界内の構造が見えてきます。
SIer業界の下請けピラミッド構造

この図もSIer業界の切り方を変えた地図とも言えるでしょう。詳しくは、こちらの記事をお読みいただければと思います。

IT業界企業ランキング一覧

IT業界の個別分野の企業を知るには、こちらの記事もオススメです。

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参考:IT業界の全体概略図

IT業界研究のためのIT業界地図

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今回は以上です。IT業界研究の役に立ちましたら幸いです。

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