IT業界10年後の動向について【金融系ITエンジニアが解説する】

IT業界(SIer) 社会

IT業界の動向について知りたい人「IT業界は働くうえで魅力的な業界ですが、一方で非常に変化の激しい業界です。ですから、IT業界で働くと10年後は自分の仕事がなくなっちゃうのではないかと、とても不安になります。IT業界で将来性が高いのはどのような技術や職業、会社なのでしょうか?」

こんな疑問に答えます。

私は金融系ITエンジニアとして12年のキャリアがあり、現在の年収は1,000万円ちょっとです。

私が新卒採用された当時、注目の技術といえば実用化の課程にあったLinuxP2Pでした。当時はスマホAIIoTブロックチェーンといった技術がこれほど注目される時代が来るなんて思いもよりませんでした。

本記事では、野村総合研究所と博報堂が公表している未来年表に基づいて、10年後のIT業界の動向を考察します。金融エンジニアとしての私の経験も踏まえながら分析してみたいと思います。

また違うアプローチとして、野村證券が販売している国内株式投資ファンド121種を元にIT業界の動向を分析・考察したいと思います。


この記事を書いている私自身は、IT業界にも関わらず歴史があって古臭く、一方で変化が激しく、安定した高収入を得られるというややこしい環境で働いています。

10年後もこの業界は変化を受け入れて自らを変化させ、生き残っていくものと考えています。しかし、IT業界で働くのに将来不安を感じている方も多くいらっしゃると思い、これはそんな方々に向けて書いた記事です。お役に立ちますと幸いです。

まずはここ10年で最も成功したと言っていい経営者、Amazon創業者で現CEOのジェフ・ベゾスのコメントを紹介します。

最高経営責任者(CEO)のJeff Bezosは2019年6月6日、人工知能(AI)について検討しているビジネスリーダーに対し、何が変わらないかに目を向けることが重要だと述べた。Bezos氏は、今後10年間に何が変わると思うか、頻繁に尋ねられると述べた。しかし、今後10年間に何が変わらないかを問う方が、より重要な知見を得られる可能性が高いと言う。


本記事の内容


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本題に戻ります。

10年後の世界で今と変わるもの、変わらないもの

まずは信頼できるソースが公表する未来予測を確認

10年後の動向を考えるうえで、野村総合研究所と博報堂が公表している未来年表をベースにして考えていきたいと思います。それぞれ2つの予測を抜粋します。

  • 日本の労働人口の約半分が人工知能やロボットなどに代替可能となる(①)
  • 全高齢者世帯の7割近くが「高齢者のみ」の世帯となる(②)

〜野村総合研究所 未来年表より抜粋〜

 

  • 農業を完全自動化するロボットが実用化する(③)
  • 等身大のパーソナルロボットが本人の代わりに買い物をするようになる(④)

〜博報堂 未来年表より抜粋〜

 

10年後の世界で変わるもの

①、③、④はロボットの実用化と普及が進むという予測です。当然ですね。

これから10年でAI・ロボット関連の技術が大きく進化するのは間違いないでしょう。既に基礎的な技術は確立してますから、今後10年で普及が進むとともにさらなる発展を遂げるのは確度の高い予測です。

また、②高齢化の問題もAI・ロボットの発展を後押しします。一人暮らしの老人が倒れたらアラートを発報するのは今でもできますし、ロボットが救急車を読んだり、自ら病院に連れて行くことも技術的には既にできることなので、今後10年で普及していくはずです。

10年後の動向を見据えるうえで、「AI・ロボット」がビック・キーワードです

10年後の世界で変わらないもの

10年後の世界で一番変わらないのは「人の心」でしょう。もちろん「AI・ロボット」など様々な進歩の影響を受けますが、「家族と一緒にいる時間が幸せ」とか「人の役に立ちたい」といった欲求、さらに「モテたい」とか「誰かに認められたい」といった欲求も、そうそう変わるものではありません。

技術や医療の発展で便利になったものは使うけど、根本的に人が求めるものは変わらないです。

「やらなくてはならないこと」が簡略化され、
「やりたいこと」により多くの時間が使える時代が到来する

①のようにAIに仕事を代替されても、働きたい人は働き続けるでしょうし、仕事したくないと思っている人はだんだん仕事をしなくていい世の中になっていきます。

つまり、人々は生活のための労働からは解放され、もっと本質的にやりたいことや欲求を満たすために使う時間が増えていくでしょう。

これから先は、やらなくてはならない事をやれる人間(=立派な社会人)よりも、やりたいことが明確で行動できる人間が評価されるようになる(=大人が再定義される)

IT業界の10年後の動向

IT業界の10年後の動向

では続いて、IT業界についてはどうでしょう。今回、10年後のビック・キーワードとして「AI・ロボット」を挙げましたのでこれをIT業界の動向として考えます。その前に未来を見越すプロである金融業界がどのようなトレンドなのか確認しておきたいと思います。そのために、今回は投資信託ファンドを調査しました。

野村證券の取り扱いファンドを確認

株式市場は景気や各個別企業の将来性を織り込みますから、10年後を占ううえである程度参考になります。

そこで野村證券が扱う国内株式投資ファンド全121種(2019年1月1日現在)の中で、IT関連のファンドを調べてみました。その結果、以下の2つが合致しました。

  • 情報エレクトロニクスファンド
  • ロボ・ジャパン

情報エレクトロニクスファンドとは

電気機器、精密機器などエレクトロニクスに関連する企業群や情報ソフトサービス、通信など情報通信に関連する企業群の株式を主要投資対象としたファンドです。投資対象として目新しい概念ではありません。

ロボ・ジャパンとは

ロボット、⾃動運転および AI(⼈⼯知能)・IoT(モノのインターネット化)等の優れた技術を有し、今後の活躍が期待できる企業、ならびにこれら企業の技術⾰新や産業構造の変⾰に伴う⽣活スタイルの変化により恩恵を受けてビジネスやサービスの拡⼤・効率化が期待できるインフラ・サービス等に関わる企業に注⽬します。

ファンドもトレンドはやはりAI・ロボットでした

以上から、ファンドのトレンドもAI・ロボットであることが確認できました。

優れたロボットを作るには優れたAIが必要です。また優秀なAIを作るにはビックデータが必要となります。これらの技術は密接に結びついており、関連する仕事はいずれも将来性が高いと言えます。

ロボット→AI→ビックデータ

またAIを使うにはアプリケーションが必要ですから、アプリケーション開発のニーズも高まります。ITエンジニアの活躍の場がどんどん広がっていくわけです。

IT業界はAIなどの技術の進歩により、今まで以上に農業や医療などの他の業界を巻き込んで肥大化していきますから、非常に将来性が高いです。

今後10年間、さらにIT x 金融、IT x 農業,IT x 医療といった、他分野と相乗的に成長が加速していくイメージです。

IT x 金融

キャッシュレス社会になり、銀行を経由しないお金のやり取りが増えていく。またデジタルマネーが主流となることによって、1円以下の0.1円のようなマイクロマネーも利用可能になり、ビジネスの幅が広がる。
LineやGoogle、Amazon、Facebookのアカウントが決済に広く用いられるようになる。
スマホやGoogle homeで簡単に送金が行えるようになる。
現金やクレジットカードなど古い決済手段は使われなくなっていく。
金融システムにブロックチェーンを用いられるようになり、銀行間で用いられている古いプロトコルが衰退する。

IT x 農業

今後、農業もITによって先端ビジネス化します。

ドローンなどにより作業の自動化・効率化が進み、企業が広大な農場を無人で運営可能になる。
生産性が向上することで原価が大幅に下がる。
広告ビジネスと融合し、アメリカでは食材を無料で配布するスタートアップ企業も出現する

2035年には世界で販売される新車の約4台に1台が完全に自動運転のクルマになる

米国コンサルティング大手「ボストンコンサルティング」のレポートによると、2035年には世界で販売される新車の約4台に1台が完全に自動運転のクルマになるそうです。

今後の発展が見込まれる自動運転業界地図にフォーカスした記事を書きました。就職・転職希望の方など業界研究をしている方は合わせて参考にしてください。


「AI・ロボット」をテーマにIT業界で働くとすると、こんな仕事がオススメです。

  • 機械学習エンジニア:AIの開発
  • データサイエンティスト:ビックデータの分析や活用

AIやビックデータは魅力的な仕事ですが、企業がAI・ビックデータビジネスに本格的に参画する場合、とてもお金がかかるのです。

ですからこの分野のリーダは、Apple・IBM・Google・Microsoft・amazon・facebookなどのグローバル企業です。

生き残る会社・淘汰される会社

ここまでは10年後に発達する技術に基づいて、求められる職種を考えてきましたが、軸足を現在に移して、どんな会社が10年後も生き残れるのか、淘汰されるのかを考えたいと思います。

私の働く自社や業界(金融系SIer)は10年後生き残れるのか?

私の務める金融系SIerのイメージは以下の通りです。

  • 業界自体が古臭い
  • 変化が激しい
  • 金持ち企業のため、高給で安定的な収入を得られる

一見すると矛盾するような属性ですが、こういう業界なんです。金融業界やSIer特有の古臭さとIT業界の変化の激しさを合わせ持っています。

古い会社の業績が悪化したり倒産するのは、時代に適用出来なくなるからです。でもこの業界は時代に適用するため、変えるべきところは全力で変化して生き残ってきた、変化に強い業界です。

働き方改革推進で見た自社の適用力の高さ

例えば働き方改革。以前はサービス残業当たり前という状況でしたが、数年前にうちの会社は当局からの警告を受けまして。そこから瞬く間に社内改革を行って、サービス残業と長時間残業を撲滅しました。

電通もあの事件が起こる前に、何も当局からの警告があったはずです。社会の中の価値観が変わって、今まで経営リスクではなかったことがリスクになったとき、時代に合わせることができずに事件をきっかけにハードランディングしてしまいました。

社会変化への適用力&資金力がある会社が10年後も生き残る

金融業界なのでいまだに古臭くCOBOLとかアセンブラのホストプログラムが残っています。その一方でビックデータやAIを駆使する部署もあります。

基本的に古臭いんですが、本気で取り組むべき新しいテーマに資金と優秀な人材を集中投入して、時代の変化に取り残されないよう適用していきます。

お金持ち企業なので、給料が高く優秀な人が集まりやすく、社内にナレッジが無い新技術を必要に応じてお金で調達することも厭わないため、社会や技術の変化に対する適用力が高いのです。

COBOLやアセンブラがいまだに残っているのは、本気になってないからですね笑

という訳で10年後もしっかり食べていける業界で仕事が出来ており、他の人にもオススメできる労働環境で働いています。

今回は以上です。金融系エンジニアに興味を持った方は、是非こちらの記事も合わせてお読みください。

変化の激しいIT業界では急な配置転換もやむなし

2018年11月5日、政府の意向や業界の動向を見据えてソフトバンクが社内配置を大幅に見直すと発表しました。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長11月5日、携帯料金の値下げに向けて、モバイル通信部門の人員を4割削減し、成長領域に配置転換すると発表しました。
孫社長によると、RPA(業務自動化ロボット)の導入を進め、2~3年内に4割の人員削減を目指すとのこと。
この人員削減は、菅長官の「携帯料金は4割程度下げる余地がある」発言や、ドコモが来春導入する新料金プランに対抗する意図があるとのこと。削減した人員は成長領域に配置転換し、グループ全体の成長を目指すとしています。

データサイエンティストやAI技術者を目指す人にも注意して欲しいのですが、今のIT業界は流行り廃りが激しく、職人のように一つの仕事しかできない人だと非常に厳しいです。

「俺はPerlでしか書いたことないから、Perlでしか書かない」という人よりも、「Rubyで書いたことなんてないけど、面白そうだからやってみる」という人の方がずっといい。
〜ひろゆき/元2ちゃんねる管理人〜

世の中の動向に合わせて仕事を変えていけるような柔軟性が必要になります。安全策は大手企業への就職を目指すこと。社内にいる限り、何とか食っていけます。

チャレンジャーなら小規模のWEB系やフリーランス。職人的な仕事の仕方をしていると、潰しが効きません。柔軟に仕事を変えていける人、能力に自身のある人はぜひチャレンジして欲しいですが、覚悟が必要です。

  • 大手IT企業 =
    入社してしまえば配置転換などあるが何とか食っていける(もし仕事できなくても保証される)
  • WEB系、フリーランス =
    仕事ができなかったり変化に適応できないと食っていけない(仕事ができなくても保証されない)

どちらの道に進むにしても、仕事は明るく前向きに、やりがいを持って働くことが何よりも大切ですね。急な配置転換があっても新しいチャレンジだと思って楽しみましょう!

What’s New(IT業界/AI関連 新着情報)

IT業界、特にAI関連の最新ニュースをピックアップしてご紹介します。

“AIオーグメンテーション”で2021年に2.9兆ドルのビジネス価値が生まれる

出典:2019年8月21日 DZ Net Japan 

Gartnerは、ハイブリッド型の人工知能(AI)アプローチが2030年までに実現し、人と機械が協働してビジネス価値を高めていくという明るい未来を描いている。
同社の予測によると、数年後にAIはさまざまな状況で人が意思決定を行う際に支援の手を差し伸べ、作業員の生産性を向上させるだろうという。
同社の推定では、AIによるオーグメンテーション(拡張)は2021年に2兆9000万ドル(約213兆円)のビジネス価値を生み出し、62億時間分の作業員の生産性向上を実現するという。

NEC、熟練職人AIを開発。機械学習で熟練行動を再現。営業、自動運転等に応用

出典:2019年8月11日 EconomicNews 

NECが熟練者の意図を学習し、意思決定を模倣するAI技術を開発したことを発表した。一般に機械学習では強化学習と呼ばれる任意の環境下での最適行動を学習させるというアルゴリズムをとる。これは帰納的に最大の報酬を得るような最適な選択パターンを学習させるものであるが、NECでは最適行動から報酬を予測させる逆強化学習にNEC独自の異種混合学習を付加し熟練者の行動モデルを構築するという手法を採用した。

異種混合学習とは熟練者の行動履歴のビッグデータから複数の規則性を自動で導出しデータ属性(環境)に応じて参照する規則性を自動で切り替える手法だ。この手法によって状況が複雑に変化する環境下で最適な行動を選択する熟練者の行動を定式化することが可能になる。

君たちはAI時代をどう生きるか 答え示す3冊

出典:2019年8月12日 日本経済新聞 

人工知能(AI)が普及していく中、人はAI時代をどう生きて、AIとどう付き合っていけばよいか。2018年に大ヒットした漫画のタイトルになぞらえて、その答えを、有識者が執筆した書籍3冊の内容を基に読み解く。
■生命科学や情報学の研究者が執筆
自動運転や音声・画像認識などの技術の進展でAIの普及が進む一方、「AIが仕事を奪う」「AIが人の知性を上回る」といった予測が出てきている・・・

おわりに

今回は以上です。これまで社会人のキャリアといえば係長・課長・部長と管理職をステップアップしてより大きな組織を動かし、仕事を遂行・管理するのが本流でしたが、これからは最も相応しいAIを用いて仕事を遂行・管理することが求められるようになるのではないでしょうか。その結果、比較的小さな組織でも、AIの力を駆使することで大きな仕事ができるようになるはずです。事実、先端企業は従来の会社よりも少ない社員数で大きな社会的影響を与えています。

例:社員はグローバルでたったのこれだけです。

  • googlの社員数:約10万人
  • airbnbの社員数:約3千人

世の中の大きな流れに逆らっても良い結果は得られません。流れを見極め、先手を打っていくしかないですね。
本記事がIT業界の将来に不安を感じている方の一助になりましたら幸いです。最後に、冒頭で紹介したTECH::CAMPをもう一度ご紹介しておきます。