【ピラミッド】 IT業界でSIerはオワコン?【技術力なし】

IT業界(SIer)

SIerについて知りたい人「IT業界ではSIerはもうオワコンなんだって聞きましたけど、将来性がない業界なのでしょうか。確かにSIerって聞くとなんとなく古臭い感じがしますし、IT業界なのにSIerは技術力もないとか。業界全体がピラミッド構造をしていると聞きますが何だか怖い感じがするし、ヤバイ業界なのかな?」

こんな誤解に答えます。

この記事を書いている私は、金融業界の課題をシステムによって解決する専門のエンジニアです。IT業界歴12年、ずっとSIerで働いており、今の年収は1,000万円ちょっとです。そんな私のSIerでの業界経験を踏まえつつ、まとめていきます。

3分以内で読める記事ですので、お付き合いください。

本記事の内容

  • SIerはなぜオワコンと言われているのか?
  • 実はSIerは将来性が高いという3つの理由

【将来性なし?】SIerはなぜオワコンと言われているのか

【将来性なし?】SIerはなぜオワコンと言われているのか

SI業界歴の浅い方やIT業界でも他の業種で働いていらっしゃる方の中には、SIerは時代についていけない古いビジネスなんじゃないか?と思う方は少なくないようです。

そのように誤解される理由を、次の2つのロジックに分解しました

  • ①IT業界なのに歴史があり、古臭いイメージがある
  • ②(①の理由で)SIerは時代の変化についていけないのではないか?

①だから②と言う理屈ですが、②に誤解が含まれます。まず、①から順にみていきます。

オワコンと言われる理由①:
IT業界なのに歴史があり、古臭いイメージがある

中学生に将来なりたい仕事についてのアンケートをとったところ、ITエンジニア・プログラマーが1位、YouTuberが3位だったそうです。
IT業界なのに歴史があり、古臭いイメージがある
私が子供の頃はそんな職業誰も憧れていなくて、プログラマーを目指してCとかBasicとかやっていた私は周囲からオタク・変人扱いされたことを思い出し、時代も変わったもんだとしみじみ思います。

ITエンジニアやYouTuberが人気と言うとITによる新しい現象だなと感じますが、一方でSIerというとちょっと雰囲気が違うというか、昔からの文化を引きずっているイメージがあります。日本IBMとか東芝ソリューションとか言われても、正直新しいビジネスをやっている感じがしませんよね。いい意味では歴史があって、悪く言うと古臭い仕事をしている感じがしてしまいます。

代表的なSIer

企業 設立年 社員数
日立製作所 1920年(大正9年) 34,925名
日本ユニシス 1958年(昭和33年) 4,190名
野村総合研究所(NRI) 1965年(昭和40年) 6,130名
新日鉄住金ソリューションズ 1980年(昭和55年) 3,031名
NTTデータ 1988年(昭和63年) 11,263名

1990年代後半から設立が相次ぐWEB系企業との違いは顕著です。

代表的なWEB系企業

企業 設立年 社員数
Amazonジャパン 2000年(平成12年) 非公開
(グループで約61万人)
google合同会社 1998年(平成10年) 1,300名
楽天 1997年(平成9年) 5,831名
Yahoo!JAPAN 1996年(平成8年) 6,611名
サイバーエージェント 1998年(平成10年) 1,540名

オワコンと言われる理由②:
SIerは時代の変化についていけないのではないか?

結論から申し上げると、これまで数十年に渡って時代の変化に適応してきたSIerは、これからも時代に応じて変化し続け、オワコン化することはないでしょう。

SIerは大手で歴史ある企業が多いので、変化の激しいIT業界で生き残れないのではないか?と思われるのは当然です。特にIT業界でWEB系のプログラマ、デザイナ、スタートアップ企業で働いている方はそう思うでしょう。

代表的なのが年功序列制度。20代でも実力があり尖っていれば活躍できるIT業界で、SIerで大活躍するのは40代、50代が中心。なんで新人で入社して15年以上も働かないと活躍できないの?!と驚かれる方も多いでしょう。

SIerは先端技術よりも経験がモノを言います。なぜかと言うと、SIerで活躍するには技術力のほか、チームワーク、チームメンバーの管理能力、提案力、顧客との交渉力、トラブル対応能力など様々なスキルが必要で、かつ社内の様々な動きも読み取れならなくてはなりません。これらを一通り経験してマスターして活躍するのはマネージャークラスであり、一般的なサラリーマンと同様に40代、50代となるのが普通です。

また「アメリカにSIerはいない。日本でもオワコン化するに決まってる」とお考えになる方も少なくありません。

アメリカ企業が日本企業よりも先進的な仕事を行っているからSIerが不要で、やがて日本でも同様にSIerがオワコン化するというのですが、これも勘違いです。

アメリカにSIer日本と比べてほとんどSIerがいない理由は、日米の会社組織の作り方の違いが原因です。

アメリカの会社の社員は横並びではなく、それぞれが専門性を持って働いています。保険会社や大手スーパーなどにもシステム構築のプロフェッショナルがいて、日本ではSIerがやる仕事も社内でやってしまうのです。

アメリカには終身雇用制度がなく、人材が流動的ですから、企業は必要な分野のプロフェッショナルを直接雇います。

一方で日本企業は終身雇用制度のため人材の流動性が低いことを前提とした仕事の進め方をします。そのため、自社のコアビジネスと関連の低い業務については人材確保が難しく、自社で行う事を嫌います。ですから外部のSIerに仕事を委託するのです。

日米の差はSIの仕事をSIerが行うか、個別のユーザ企業が行うかという違いだけです。もし将来日本もアメリカ型に近い会社組織が増えていったとしても、IEエンジニアにとってはSIerよりもユーザ企業に雇われてSI業務を行う機会が増えるだけです。決してSI業務がアメリカでは行われていないとか、SI業務がオワコン化しているという話ではないのです。

【オワコンではない】実はSIerは将来性が高い3つの理由

  • Sierはシステム構築の司令塔
  • SIerなしで大規模システムは作れない
  • AIで代替することは難しい

【技術力よりマネジメント力】SIerはシステム構築の司令塔

【技術力よりマネジメント力】SIerはシステム構築の司令塔

サッカーを思い浮かべてください。チームプレイですから、司令塔となる人が必要ですね。これと同様に、大規模・中規模システムは必ずSIerが司令塔としてマネジメントして作っています。

サッカーは11人で1試合2時間程度ですが、システム構築の場合は、大きなプロジェクトになると数百人が毎日一日中その仕事をするのです。

いったんプロジェクトが始まると、子会社や外部のSIerから下請け・孫請け、というように様々な会社から様々な能力・技術力を持ったエンジニアが集まり、ピラミッド型のチームができあがります。

SIerの重要な仕事は、これらのエンジニアの司令塔となって、それぞれの担当のエンジニアがお客様の満足のいくシステムを作るために、エネルギーを注げるよう「仕切り」をすることです。ですから技術力は二の次なのです。

数百人をマネジメントする業務ですから、毎日様々なトラブルに見舞われます。毎日が判断・決断の日々です。判断・決断には経験がかなり有効で、ロジックに入る前にマネジメント経験で仕事を捌いている部分もかなりあります。これが年功序列の仕組みにマッチしていて、活躍できるのが(マネジメント経験が蓄積する)40代、50代になる理由です。

小規模システムならクラウドサービスなどを使って構築することができ、一見するとSIerは不要ですが、クラウドサービスを提供しているamazonなどの会社が、SIerに作らせたシステム基盤をレンタルして使っているので、実はこの場合も意識しないで済むだけで、間接的にSIerが仕事をしているのです。

SIerの仕事は技術を扱うのではなく、
技術を扱う人(=エンジニア)をまとめてサッカーよりずっと大きなゲームを動かします。

SIerなしで大規模システムは作れない

SIerなしで大規模システムは作れない

googleでSIerを調べると、業界構造を表すピラミッドが出てきます。でもこれ、ちょっと違うんです。実際はこうです↓

SI業界のピラミッド

大手SIerは上流工程を担当しますが、下流工程についても円滑に進むように計画を立て、レビューを行い責任を持ちます。

一方、上流工程を円滑に行うためにプロジェクトによってはコンサルティングファームを入れることもありますが、コンサルティングファームが下流工程まで見ることはまずないです。現場ではお互いの役割が干渉し合わないように分断されているのではなく、お互いに重複し、補完し合う形のピラミッドなのです。

SIerについてのまとめ:
技術力はないがオワコンではない

技術力はないがオワコンではない

SIerは歴史が古い業界であり、最先端の技術力を持たないのですが、それはSIerが技術ではなくプロジェクトを扱う仕事であり、プロジェクトやプロジェクトを担当するエンジニアの管理業務が重視されることが背景にあります。

一方でメンバーのエンジニア一人一人が扱う技術や、作るシステムはテクノロジーが進化するにつれて進化し続けます。今までもこれからもずっと変化していきます。

ですから米国のWEB系企業のような技術力はないのですが、そもそも戦場が違うからであり、プロジェクトがある限りSIerはオワコンではないのです。

SE(システムエンジニア)の仕事内容は働いた経験がないとわかりにくいですが、興味のある方にとって参考になりましたら幸いです。