SIerは成長できない|その真偽をSI歴14年のエンジニアが解説

IT業界(SIer)

SIerは成長できないと言われてそう思っている人

SIerじゃ成長できないと思う人「SIerで働いてますが、ITに詳しくならないし、成長できてない気がします。ひたすら時間を切り売りするような仕事しかない?」

こういった疑問に答えます。

意識の高い人ほど悩み、意識の低い人はなんとなく毎日を過ごしています。

成長の意識が高い

今この記事を見て下さる方は、「年収」でも「残業」でもなく「成長」に注目している方なので、意識の高い方だと思います。

IT業界と言っても、SIerの仕事は泥臭いので、「何やってるんだろう」と思うことも少なくないです。

先日、後輩から成長している実感がなくて悩んでいるという話を聞きまして。相談に乗りました。私の後輩と同じように悩んでいる誰かの役に立てばと思って、この記事を書きます。

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こんなタイプの人はSIerで成長できない

こんなタイプの人はSIerで成長できない

SIerには成長のチャンスが多くありますが、SIerで成長できなかったという人はきっと、自分の希望とSIerの仕事内容の間にミスマッチがあったんだろうなと。

こんな人は成長できない

SIerへ就職しても成長できない人【タイプは5つある】

  1. 丸投げしてる人
  2. 作業が忙しすぎる人
  3. 実は成長する気のない人
  4. 尊敬する上司や先輩がいない人
  5. 成長のポイントを理解していない人

丸投げしてる人

SIerなら、仕事はベンダーさんや協力会社さんと進めることが多いと思います。

自分が積極的に仕事をしなくても、優秀なベンダーさんなら答えを持ってきてくれるので、丸投げになるケースも多いです。

この状態に慣れると思考停止になってしまいます。

いくら優秀で頼りになる人と働いていても、仕事を依頼する前に自分の中に答えを持っておいて、丸投げでなくベンダーさんのアウトプットと事前に考えた自分の答えを比べて、常に答え合わせをするように仕事を進めるべきです。

作業が忙しすぎる人

作業に集中している時は、視野が狭くなって物事を客観的に見られなくなることが多いです。そういう時は作業と作業の間に時間を置いて心に余裕を持つと、気づきが得られます。

仕事がうまくいかないときには反省も大切ですが、忙しすぎる人はそうした時間も十分に取れません。
また同僚との雑談も大切で、第三者からのちょっとしたアドバイスが成長のきっかけになることも多いです。

実は成長する気のない人

私も長い間そうだったんですが、会社で一生懸命仕事をしていると、それだけで自動的に成長すると思っている人。

もちろん、資料の作り方とか、Gitの使い方とか、テクニカルな意味では学習というか慣れてはくるのですが、それは仕事の本質じゃないんですよね。

WEB系であれSIerであれ他のITや研究職であれ、仕事の本質的な意義とは、価値のあるアウトプットを出すことです。

昨日より今日の方がちょっとだけ価値の高いアウトプットをするという前向きな気持ちを常に持っていないと、なかなか成長できないのです。

尊敬する上司や先輩がいない人

尊敬する上司や先輩がいない人

SIerで身に付くスキルは、技術ではなくマネジメント系のスキルばかりです。

例えば、スケジュール管理、品質管理、顧客対応、メンバーの管理、関係者との合意形成などですね。

大規模なプロジェクトほど管理が難しいため、大きなプロジェクトをこなしているうちにマネジメントスキルが身について、課長→部長と昇進していくイメージですね。

ドラマなどに登場するデキる部長や会社役員になるために必要なスキルを学びたいなら、SIerで働くのは良い選択肢になります。

逆に上司や先輩のようになりたくない、同じように歳を重ねたくないと思ってしまうなら、就職先のミスマッチの可能性が高いです。。
例えば管理よりもコーディングなど、現場で手を動かしたい場合ですね。

別の部署には尊敬する人がいるという場合には異動を、全くいない場合には異業種へ転職をオススメします。

成長のポイントを理解していない人

 
成長のポイントは技術力や営業力、管理力、人間力など職種やポジションによって様々あります。

自分が今進めている仕事はどの力がポイントになっていて、どう伸ばしていくべきかわからない人は、成長しずらいです。

まずは上司や先輩をよく見て、自分との能力の差を実感すると良いと思います。次に能力の差を埋めるにはどうしたらいいか考えていきます。読書を増やしつつ、仕事の仕方を変えるといった改善を繰り返していけば、必ず成長の波に乗れます。

技術的には成長できないと割り切るほうが賢明です

SIer社員は技術的には成長できない

IT業界で技術を身に着けたいと思ってSIerに就職した人は、全く成長できないと悩んでしまうと思います。SIerでは「手に職」はつかないので、そこは割り切りが必要です。
» 参考:【低い】プログラマーの年収は200万円以下です【IT業界の残酷な成功法則】

でも、「新技術を受け入れる力」は身につく

SIerで身につくのは技術そのものではなく、技術を受け入れる力です。

数年に1度システムは刷新されますから、新しい製品を導入することで新技術も受け入れることになります。
これは技術を学んで使っていくスキルではなく、テクノロジーの概要を理解して以前の製品との違いなどポイントを捉える理解力です。

これが無いと、システムトラブルが起きたときに何が原因か見当が付きません。以前のシステムと違う点はシステム安定稼働のリスクでもあり、事前に抑えておかなくてはならないポイントです。

SIerで成長できる「7つの力」

1.理解力

システム開発は多い時で100人・200人という規模で行いますから、まずはチームの中での自分の役割や立ち位置を理解することから始まります。

プロジェクトの規模が大きいと、同じチーム内でも自分の専門外の事や範囲外の話も多いです。

知らぬことと割り切ってしまうと視野が狭くなって、将来の仕事の幅が広がっていかないので、うまくいきません。

ですからSIerで働いていると自然と視野が広がって、未知の領域の話でも学ぶだけの理解力が身についてきます。

2.文章力

SIerの仕事内容は、ほとんどが文章を書くことです。

チームで仕事をしていますから、関係者と共有するために最終成果物は文書になるわけです。

3.決断力

SIerの仕事は決断の連続です。

例えば仕事の進め方に悩んだとき、自力で解決するか上司の助けを借りるかを決める必要があります。上司に助けてもらうにしても、今度はどこまで自力でやってどのポイントを相談するかを決めます。

またシステム開発の仕事を外部の会社や東南アジアなど海外に委託した時は、現場の課題に対して解決を求められます。

こんな感じで日々決断を繰り返していくので、最初はできなくても自動的に決断できる人間へと成長していきます。

4.計画力

例えば2週間後に小規模なシステムの変更が予定されているとします。

するとメンバー全員の2週間分のタスクを日単位でスケジュールしなくてはなりません。複数のプロジェクトを抱えている場合は、1日に2時間ずつとか、限られた時間で準備が間に合うような計画にする必要があります。

SIer社員にとって計画とその軌道修正は毎日のことですから、自然と計画力が身につきます。

5.提案力

残念な現実ですが、お客さんがどういうシステムを作りたいか答えを持っていないということは、よくあることです。
その場合、SIerから顧客に業務改善案や作るべきシステムを考え、提案をします。ITコンサルに近い業務ですね。

仮説を立てて、こういうシステムにすべきでないか?と考えるのは頭を使いますが楽しい仕事の1つです。
仮に間違った提案であっても、お客さんは提案を聞いて初めて頭が動き出し、「こうしたい」とか「こうじゃない」とか具体的な話を始められることも多いです。

別のシーンとしては、自分がやりたいことがある時、上司に提案するというもの。
例えばAIについて勉強したいとき、AIセミナーに参加したいと上司に提案します。
 ①これからAIを使ったシステムが増えてくるので先行投資として学ぶべきであること
 ②自分がセミナーで学んだことを文書化し、本部で共有する
という提案をすれば、20万円以下くらいのセミナーならまず決済が通るでしょう
仮に本部に100人いてセミナー代20万円とすると、会社は1人あたりたった2,000円の投資で済み、そのくらいの勉強代は簡単に回収できますから。

提案力は、若手より中堅になったあたりから伸びるスキルだと思います。

6.合意形成力

チームで仕事をすると、関係者が多く居て、あっちを立てればこっちが立たないという事が生じます。

そのため重要になるのが合意形成能力です。関係者全員からOKを貰えるような案を書き記し、説明して合意を取り付けます。
特に仕事依頼してくれるお客さんと、仕事を委託する業者さんは見えているもの・重視していることが対極になることが多いです。

SIerで仕事をすると、こうした状況を解決する合意形成能力が自然と身につきます。

7.レビュー能力

SIer社員はプログラミングはほとんどしませんが、製造されたコードをチェックすることはあります。

また現場で設計した詳細な仕様だったり、製品を導入する場合にはその基本的な動作を理解する必要があります。

こうした1つ1つの機能をチェック能力は、理解力よりも突っ込んで問題点を洗い出す力が求められます。

これがレビュー力でして、日々ソースコードやサブシステムの機能をチェックしていく中で自然と身につくスキルです。

「目指すべき成長」について1つ提案させてください

SIer社員の成長の方向性を考える

「技術」より「自走できる人材」を目指すべきです

SIerで学べることは多いです。文書力、理解力、提案力、交渉力、レビュー力の5つが身につけば、一人で案件が回せるようになります。

さらに営業力と決断力を磨けば、完全に自走できるようになり、会社に頼らずとも、どこでも食っていけるはず。

会社で出世するのは熾烈な競争があって狭き門だけど、スキルセットを身につけるために必要な環境は、SIer社員なら基本的に誰にでも門戸が開かれています。ありがたいことです。

そして自走できるようになれば、キャリアは無限に広がります。あなたは自由です!先行きが不透明な現代を生きるには、この成長戦略を選択することをオススメします。

まだ自走できない間は会社から給料がもらえる。自走できるようになれば自由になれる。つまり、これはヌルゲーです。

結論:成長できない原因は自分の中に見つけて、PDCAを回しましょう

SIerで成長できないのには自分に原因がある
 
SIerで成長できないと感じたら、原因分析して成長できる環境を作りましょう!会社のせいにする前に、まずは自分です。

悩むよりまずは成長の方向性を決めて、阻害要因を取り除き、PDCAを回しまくるべきです。

成長してるけど、自己肯定感が低くて実感がない時もある

仕事で自分が思っているほど成果が出せていない場合、実は自己肯定感が低いだけで、しっかり成長していることもあります。私も上司に自分の判断や行動の変化を具体的に挙げてもらって「なるほど確かに昔より成長したかもな」、と思えた経験があります。

もし自己肯定感が低くなってしまっていると感じたら、成長を意識するより前に、まずは少し休んだ方がいいです。

SIerの仕事はハードだけど、確かに成長できる環境であるはず。今日も前向きに、挫折フリーでがんばっていきましょう(^_^)/

今回は以上です。参考になりましたら幸いです。

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