SIerから社内SEへ転職は難しい?|楽勝だけど、先が無い話
SIerで働いているけど社内SEに転職したい人
「SIerに勤めているけど、社内SEに転職したいな・・・
でも仕事が変わるのは不安だし、難しいのでは?
転職を成功させるコツは何かな?」
こういった疑問に答えます。
この記事を書いているのは、SIer歴14年のエンジニアです。現在は管理職をしてます。SIerから社内SEに転職や出向した人は周りに20人以上いまして、機会がある度に話を聞いてきました。
こうした経験が社内SEへの転職を検討して不安を感じている方の役に立てばと思い、記事を書きます。
社内SEへの転職は難しい?
SIerと社内SEは業務を遂行するのに必要なスキルが近いです。そのため、営業など他の部門から応募する人と比べると圧倒的に有利ですから、無理のないキャリアチェンジと言えます。
必要なスキル
[社内SEが求められるスキルの例]
- システムを提案する力
- 外注スキル
- 開発スキル
- 情報セキュリティ
- クラウドの導入&利用
公開求人情報
dodaの公開求人情報だけでも、上場企業の社内SE募集が930件も・・・
IT業界は人手不足ですね。。。
» 参考:dodaの転職支援サービス
SIerとの違いや、気をつけるべきこと
SIerから社内SEへの転職は人気のキャリアパスです
社内SEへの転職動機は、私の経験上だと2パターンです。
- SIerよりは楽そうだから社内SEを希望する人
- キャリアアップのため社内SEを目指す人
実際に、社内SEはSIerより楽かというと・・・そうとも限りませんので、”楽”を動機にしている場合は検討の軸を変えたほうがいいかと。
良い特徴:最上流であること
企業のシステム部門は、システム構築の最上位の組織です。
具体例:社内のシステムを刷新する場合の仕事と役割
- 刷新プロジェクトを計画し、役員や関係者に説明して、合意を得る
- システム開発をSIerに依頼する
社内SEの役割は教科書的にはこんな感じですが、最上流の機能を果たしている企業と有名無実化している企業があります。
ちゃんと機能している企業だと、社内SEがきちんと社内の根回しをするし、SIerと密に連携してプロジェクトマネジメントもします。
良くない特徴:社内のIT御用聞き
「パソコンが動きません」というレベルの問い合わせが他部署の社員から来ます。
これはこれで仕事と割り切り対応すべきですが、下手するとただの社員のIT御用聞き要員になってしまって、成長できずにキャリアが終わるので注意が必要です。
IT業界から距離を置き、事業会社の社員になるという認識を持つ
社内SEはエンジニアにとっての「通称」であって、実際はIT業界を去って事業会社の社員になるということです。
転職市場こそ社内SEはIT関連の仕事に分類されますが、実際は製造業やアパレルなど、ITとは別の業界で働くことを意味します。
IT以外の業種ですと、ユニクロなど一部のグローバル企業を除けば、成長性の低い企業がばかりですから、認識を持って転職したほうが良いです。また経営層のITに対する見方も、企業によって大きく異なります。もしIT業界の真ん中で働きたいなら、社内SEは転職先としては違うかもしれません。
社内SE職の内定をもらうための手順
以下の手順です。
社内SE職の内定をもらうための手順
- 手順①:企業研究
- 手順②:自分の役割の明確化
- 手順③:ポータブルスキルの確認
- 手順④:企業を選ぶ
手順①:企業研究
企業ごとに組織の構成が異なるので、社内SEに求められる役割が、企業ごとにかなり違ってきます。
ポイント:キャリアパスがイメージできるか
SIerで数年働いたら、社内SEの仕事はきっとこなせると思います。
ただし社内SEのキャリアパスは非常い選択肢が狭いです。転職の先のイメージを持っておかないと、行き詰まります。これについては具体例を後述します。
手順②:自分の役割を明確にする
自分が転職後にその企業でどのような役割を果たしていくか、具体的なイメージを持ちましょう。
具体例
- システム業務部門、セキュリティ部門など関連する部署との役割分担は?
- 主な役割は自社開発かベンダーコントロールか?
- 求人の動機となった進行中のプロジェクトなど、期待されている役割は?
- システム刷新/保守/障害対応のいずれを担当するのか、または全てか?
手順③:ポータブルスキルの確認
役割が明確になったら、自分が身につけているスキルのうちどれが活かせるのか、またどれを転職後に獲得しなくてはならないかを確認します。
手順④:企業を選ぶ
手順①〜③までしっかりできていれば内定はもらえるけど、「自分が選ぶ」ということが一番大切で、自分に相応しいスタートラインに立つということに繋がります。
社内SEへの転職後はどんなキャリアを進むべきか?【結論:わからないからこそスキルを磨くべき】
社内SEになった後のキャリアについて考えてみましょう。私の知人の例を2つ挙げます。
ケース① システム担当部長になった人の話
私の知り合いで、SIerから転職して一部上場企業のシステム部門の部長になった人がいます。転職後はシステム部門の誰よりハードに業務をこなしていました。
システム部門の実務上のトップですから、部長になる前から社内システムの全てを理解しようと努力されていた方です。
どこの会社もITの重要性が高まっているので、システム部門の社員にはこれまで以上に期待がかかってます。やりがいのある仕事になるので、チャレンジするのは良いと思います。
ケース② 社内SEをして顧客理解を深めてからSIerに戻ってきてもいい
戻ってきてOKです!
私の会社では、転職ではないですが出向という形で、顧客企業で社内SEをやるという人材交流の仕組みがあるくらいです。
成長してSIerに戻ってきたAさんの例:
例えば稟議の通し方とか、業務文書の出し方とかを学んでSIerに戻ってくると、「向こうの手続きが2週間はかかるよね」とか「XX担当の役員が出張だと決裁降りないだろうな」とか、顧客の仕事の動きを読んで賢く動けるエンジニアになります。
成長せずSIerに戻ってきたBさんの例:
SIer相手にふんぞり返って、内部の問い合わせ対応だけやっているようだと厳しいです。。。顧客企業に行くと何故かそうなっちゃう人がたまにいますね。。
ケース③ ITコンサルに転職
システム開発を受託する側と委託する側の両方を経験しているわけですから、ITコンサルの仕事はかなりやりやすくなると思います。次のキャリアとして有力な候補になります。
ポイント:「顧客目線の仕事の仕方」を学んで提案力を磨くべき
ITコンサルの場合、顧客企業から仕事をいただく立場に戻りますので。社内SEの仕事を通じて、コンサルからどういうシステムの提案があると嬉しいのか、業務を通じて理解すべきかと。
結論:再度転職できるだけのスキルを身につける
次のステップを「出世」とすると、一般事業会社のシステム部門という狭い組織では、選択肢がほぼ無い状態になってしまいます。。。ですからハードに決めず、世の中の情勢も見つつ、柔軟に考えた方が道が開けます。
まずは社内SEとしての役割をしっかりと果たして、自分のやってきた仕事を胸を張って人に説明できる状態を目指してはいかがでしょうか。
スキルが身に付き、次にまた転職できる状態であれば、選択肢も大きく広がりますので。生きやすくなると思います。
今回は以上です。参考になりましたら幸いです。