自動運転業界地図を分析・解説します
自動運転に興味のある人
「自動運転に興味があります。トヨタ・ホンダのような自動車メーカーの他、どのようなプレイヤーがいるのでしょう?また、それぞれの企業がどのような立場で市場にコミットしているのでしょうか?また、わかりやすい業界地図はありますか?」
こんな疑問を解決します。
はじめに
この記事を書いている私のキャリアは以下の通りです。
・大学では情報学科、大学院ではコンピュータサイエンスを専攻
・就職してIT業界に12年間従事
– インフラエンジニアとして6年のキャリア
– アプリケーションエンジニアとしても6年のキャリア
大学時代からIT分野を選び、現在は金融業界でアプリケーションエンジニアとして年収1,000万円ちょっと稼いでいます。
自動運転業界は既存の自動車技術に加え、AIやセンサー、ライドシェアなどの関連サービスや行政に到るまで、プレイヤーは多岐に渡るためその全容を理解するのが難しい業界です。
自動運転業界地図
自動運転専門ニュースメディア「自動運転ラボ」は2018年7月17日、自動運転車の開発に携わる大手企業やスタートアップ企業、大学、自動運転関連企業に出資するファンドなどをまとめた「自動運転業界マップ」をリリースしました。以下にその業界地図を示します。
出典:自動運転ラボ
自動運転業界
という新しいマーケットに対して、プレイヤーがわかりやすく整理されており、大変勉強になりました。本記事ではこの業界地図を踏み込んで分析してみたいと思います。
自動運転業界 国別プレイヤー分析
業界地図をもとに、国別にプレイヤーを集計してみました。米国をはじめとする海外勢よりも日本企業の方が多いのは、国内向けに情報バイアスがかかっているからでしょう。
この業界地図は、就職活動などで国内の企業にフォーカスして業界分析する上では非常に役に立ちますが、海外勢も含めたグローバルでフェアに業界全体について調べたい場合には、この業界地図の情報だけとは別の情報源も参照するなどの配慮が必要です。
※赤塗りつぶし
は、ベンチャー企業
国名 | 業界関連 企業・大学数 |
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日本 | 64社 | トヨタ、ホンダ、Softbankグループ、notteco 、nearMe 、Azit 、未来創生ファンド、ITD Lab 、ZMP 、先進モビリティ 、アセントロボティクス 、ティアフォー 、AZAPA 、ALBERT 、WHITE MOTION 、オプティマインド など
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アメリカ | 31社 | google, nvidia,Drive.ai ,Argo AI ,Faraday Future , Local Motors など |
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中国 | 13社 | 百度,アリババ,FMC ,NIO ,第一汽車,東風汽車,上海汽車 など |
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ドイツ | 10社 | メルセデス,BMW,BOSCH,ZFなど | |
フランス | 5社 | ルノー,Valeo,NAVYA , EasyMile など |
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シンガポール | 3社 | Grab、Nanyang Technological University(NTU) | |
韓国 | 3社 | 現代,LGなど | |
イタリア | 2社 | FIAT,JAGUAR | |
オランダ | 2社 | here,TomTom | |
インド | 2社 | TATA,OLA | |
イギリス | 1社 | ケンブリッジ大学 | |
スウェーデン | 1社 | VOLVO | |
イスラエル | 1社 | Mobileye | |
カナダ | 1社 | MAGNA | |
日本国内に自動運転関連のベンチャー企業が乱立
私自身、これほど多くの自動運転関連のベンチャー企業がすでに国内に存在しているとは知りませんでした。大手企業を志望するよりも、こうしたベンチャー企業を目指して就職活動をするのも非常に面白いと思います。会社のルールを勉強していくと言うよりも、一緒に会社を作り上げていくという経験が可能でしょう。
トヨタ自動車とソフトバンクの合弁会社など新しい動きにも注目
この業界地図には、トヨタ自動車とソフトバンクグループが共同出資したモネ・テクノロジーズ(Monet Technologies)が載っていません。会社設立がこの業界地図の発表後だったためです。このように自動運転業界は、新しい動きにも注目です。
自動運転業界を国別・個別企業として見るよりも、アライアンスを見極めるべき
既存の自動車業界においてもルノー・日産・三菱の3社が共通規格の部品を製造するなど、アライアンスを理解することは業界の構造を理解する上で大変重要です。
今回、業界地図をもとに国別に企業を整理しましたが、これら多種多様な企業がどのような協力関係にあるのかを分析していく必要があります。今回の業界地図からは読み取る事ができなかったので、今後のバージョンアップに期待しましょう。新しい業界地図が出た際には、本記事も更新したいと思います。
今回は以上です。自動運転業界について調査されている方に少しでも参考になりましたら幸いです。