プラットフォームビジネスがわかる本|おすすめ書籍5選
プラットフォームビジネスとは何か調べる人
「プラットフォームビジネスの意味がよくわかりません。どういう意味か解説してほしい。オススメの本も教えてほしい。」
こんな悩みを解決します。
本記事の内容
なお、本記事では書評についてflierさんのサイトを参考にしています(各書籍タイトルから該当サイト内ページに飛びます)。
プラットフォームビジネスとは
プラットフォームビジネスとは、ITを活用するうえで必要な様々な基盤を提供するビジエンスです。
かつてはサーバ・通信・ネットワークが基盤でしたが、プラットフォームビジネスの台頭により提供されるサービスの範囲がより広範に、高機能になっています。ここでは、プラットフォームビジネスの例を3つ挙げます。
[プラットフォームビジネス3つの例]
- IaaS・・・Infrastructure as a Service
- PaaS・・・Platform as a Service
- MaaS・・・Mobility as a Service
Iaas・・・Infrastructure as a Service
ITサービスを支えるシステムインフラ(仮想サーバ、OS、ハードディスク、ネットワークスイッチ、ファイアウォール)をインターネット上のサービスとして提供するクラウドサービスのことを指します。SaaSやPaaSなどよりもインフラ設計の自由度が高く、各種インフラのスペックやOSを自由に組み合わせて選択することができます。一方、インフラ設計・運用を自社で行わなくてはなりません。加えて、セキュリティ対策も重要となります。
Paas・・・Platform as a Service
サービスを提供するための各種アプリケーションを実行する環境(データベース、WEBサーバ、アプリケーションサーバ、各種ミドルウェアなど)が提供されるサービスのことを指します。アプリケーションの開発・運用に特化できますが、提供される実行環境の制約を受けるため、IaaSと比べて開発の自由度は下がります。
Maas・・・Mobility as a Service
MaaSとは、従来のマイカーや自転車、公共交通機関などの交通手段をモノで提供するのではなく、サービスとして提供するという新しい概念です。MaaSの普及を見据えて、自動車業界、行政、公共交通機関が入り乱れてさまざま実証実験を行うなど、新しいMaaSの姿を模索する動きが激しくなっています。MaaSはクルマ社会が生み出したさまざまな課題を解決するためのプラットフォームとして機能します。
MaaSについて詳しくはこちらの記事で解説しています:国内企業MaaS関連企業ランキング
プラットフォーム戦略
かつてSonyが得意とした囲い込み戦略の現代版がプラットフォーム戦略です。同一プラットフォーム上に様々な商品やサービスを並べて提供します。現代版の囲い込み戦略であるプラットフォーム戦略を2つ紹介します。
- フリー戦略
- API戦略
フリー戦略
グーグルがフリーで多くの充実したサービスを提供するのをはじめ、Facebook、Line、ウィキペディア、ブログ、ゲームに到るまで様々なWEBサービスが無料提供される世の中です。これらは自社の展開するプラットフォームへの参加をお手軽にする戦略で、より多くの人に使ってもらうことを優先しサービス料の回収を後回しにする戦略と言えます。
フリーには大きく四つのビジネスモデルが存在し、①無料の商品で客を呼びこみ、他の利益商品を売る「直接的内部相互補助」、②広告主からお金をもらい、商品を安く売る「三者間市場」、③無料ユーザーの一部に有料のプレミアム版を売る「フリーミアム」、④金銭でなく注目や評判などを対価として商品を売る「非貨幣市場」があります。
デジタル世界では、近い将来に必要となるコストをもとに価格を決め、価格低下に伴う需要増とコスト低減により、利益を上げることが可能とります。
デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になるが、フリーからもお金儲けはできる。創造的にも破壊的にもなり得るこのフリーという過激な価格を味方につけることができるかどうかがフリー戦略の正否の鍵となっています。
API戦略
APIとは、「ソフトウェアの機能を別のソフトウェアやサービスなどと共有する仕組み」のことです。例えば、APIを用いることで「Google マップ」といった他社のサービスを、自社のサービスの一部として組み込み、利用することができます。
APIを公開する企業は世界的に増加傾向にあり、試算によるとその市場規模は2兆2000億ドル(約250兆円)にも達します。
複数のAPIを組み合わせるだけで、新しいサービスを生み出すことができます。一見囲い込みとは真逆のオープンな仕組みですが、サービスが他社のAPIに依存するようになるため、APIそのものがプラットフォームのインターフェースになっているのです。
プラットフォームビジネスがわかる|おすすめの本5選
プラットフォームの教科書
著者:根来龍之
また身の回りにある事例から、「そうか、あれもプラットフォームビジネスだったのか」といった気付きを得られる。
プラットフォームビジネスは、新しくサービスを始めるスタートアップだけのものでなく、自動車産業や金融業、小売業といった従来型の産業でも、すでに採用されているビジネスモデルだ。
スマホとソーシャルネットワークの拡大によって、プラットフォームビジネスがますます進展を続けている今、プラットフォームの考え方をおさえておくことは、ビジネスの選択肢を広げる上で大きな武器となる。
- プラットフォームビジネスは、補完プレイヤーの活動があって初めて価値を持つ。「ネットワーク効果」「先発優位」「規模の効果」などの原理を内包しているため、従来のビジネスに比べて、一人勝ちしやすい。
- プラットフォームビジネスでは、「先発優位」が働く。
- プラットフォームビジネスは、ある一定規模を超えるまでの立ち上がりが非常に難しく、マルチホーミングやスイッチングコストなどの要因によって一人勝ちしづらい領域も存在する。
amazon 世界最先端の戦略がわかる
- アマゾンは、生活に関わる商品の圧倒的な品揃えと、安さ、早さで、ネット通販において他を圧倒する存在となった。
- 最高の顧客サービスを実現するべく、新サービスとそれを実現するテクノロジーに、豊富なキャッシュフローを惜しげもなく投資しているのがアマゾンの特徴だ。そこから得られた強みを近隣の領域に広げることで、クラウドサービスなどで次々と世界の覇者となっている。
- その動向は小売り、IT、金融など、あらゆる業界を変える可能性を秘めている。もはやアマゾンを抜きにして明日の産業を語ることはできない。
プラットフォーム・レボリューション
著者:ジェフリー・G・パーカー、マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン、サンジート・ポール・チョーダリー、渡部典子(訳)、妹尾堅一郎(監訳)
代表的なプラットフォーム企業にはグーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックといった、そうそうたる企業が並ぶ。ウーバーやエアビーアンドビーなどの急成長企業や、シリコンバレーのベンチャーの多くもプラットフォーム企業だ。
プラットフォーム・モデルが広がると、ビジネスのほぼすべての側面で革命的変化が起きると著者はいう。たしかにプラットフォーム企業は今後も各業界に広がり、大きなインパクトをもたらすだろう。しかしその中身を十分に理解している人はまだまだ少ない。
本書はプラットフォーム研究の第一人者として多くの研究成果を発表してきた著者たちが、プラットフォームの特徴やメカニズムを、多くの事例を通して明らかにした力作である。
プラットフォームの特徴を把握し、プラットフォーム企業への対抗策を講じることは、現代の経営戦略を考えるうえでなかば必須といっていい。まさしく「必読」の一冊である。
- プラットフォーム・ビジネスは、自分たちがコントロールしていない資源を用いて価値を創造するので、非常にすばやく成長できる。
- プラットフォームの基本構造は、参加者+価値単位+フィルターだ。
- 立ち上げにおいてどのような戦略をとるにしても、プラットフォーム企業はプッシュ(広告や広報)よりプル(口コミ)を重視するべきだ。
- プラットフォームでは収益化する際、誰に課金するのかをよく考えなければならない。
- プラットフォーム革命は、予測不能な形で私たちの世界を様変わりさせるだろう。その課題に対して、私たちは創造的かつ人道的な対応をしなければならない。
the four GAFA 四騎士が創り変えた世界
- グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの「四騎士」は世界のあり方を大きく変えた。その影響を避けることはできない。テクノロジーに興味がなくとも、「四騎士」を理解することは、デジタル時代の今後を生き抜くために不可欠である。
- 四騎士は、差別化した製品、大きなビジョン、高い好感度、膨大なデータとそれを活用するAIという点で、大きな成功を収めている。
- グローバル化した四騎士以後の世界では、超優秀な人材のチャンスが増える一方で、「凡人」は苦戦を強いられることになる。
アップル、グーグルが神になる日
- ネットとリアルが融合するIoTを実現させるうえで、BLEという無線通信が注目されている。
- アップルが開発した、近距離での位置情報検出技術「iビーコン」によって、事業者は自分たちが設置したビーコン付近において、ユーザーがいつ、どこで、どれくらいの頻度で、どのくらいの期間滞在し、何を購入したかを把握できる。
- アップルやグーグルといったプラットフォーム企業は、あらゆる分野においてリアルとネットを同期するための仕組みをつくり上げようとしている。
今回は以上です。参考になりましたら幸いです。