COBOLエンジニアがJAVAのSEより市場価値が高い理由

IT業界(SIer) プログラミング

COBOLに興味を持ったエンジニア
「COBOLってどんなプログラミング言語ですか?古いプログラミング言語みたいだから、とても将来性はないんでしょう?なんでまだ使われているのか、不思議です。衰退していくCOBOLのエンジニアはこれからどうするんだろう。」

こんな疑問に答えます。

この記事は以下の方を対象にしています。

 COBOLって何?と思っている若いエンジニアまたは学生
 将来が不安な現役COBOLエンジニア

本記事の内容

この記事を書いた私は、金融業界でアプリケーションエンジニアとして年収1,000万円ちょっと稼いでいます。

これまでのプログラミング言語経験は以下の通りです。
 ・大学で情報学科、大学院ではコンピュータサイエンスを専攻
 →PYTHONやC++などは使っていたが、COBOLは一切使ってこなかった
 ・就職してIT業界に12年間従事
 →JAVAのほか、学生時代には予想もしなかったCOBOLやアセンブラを業務で使うことになる

大学進学前から約20年間、様々なプログラミング言語を扱ってきました。こうした経験を踏まえて記事を書きます。

また、これからプログラミング言語を習得したい人はこちらの記事も参考にしてください。

COBOLってどんな言語?

COBOLってどんな言語?

COBOLは60年前に開発された歴史あるプログラミング言語です。その成り立ちはC言語よりも10年以上古く、進歩の早いIT業界では化石の様な言語だと考えられることが多いですが、今での開発の現場で現役バリバリで使われ続けています。

概要をwikipediaから引用します。

COBOL(コボル)は、1959年に事務処理用に開発されたプログラミング言語である。名前は「Common Business Oriented Language」(共通事務処理用言語)に由来する。

非理系の事務員や官吏でもプログラミングできる言語として設計されたため、自然言語である英語に近い記述をめざしたコマンド語彙や構文(シンタックス)が採用されている。特に金額計算など事務処理用に広く使われている。

現在では主に金融機関の基幹業務で使われており、そのプログラムはメインフレーム(ホストコンピュータ)で稼働しています。

私が学生の頃には当時流行の新しい言語を主に扱っていたこともあり、就職した会社でCOBOLやアセンブラの開発業務が未だにあると知った時には本当に驚きました。

どうしてそんな古い使用の言語を使って非効率な開発を続けているのか、意味不明でした。

しかし開発の現場でわかったのは、必ずしも新しいプログラミング言語を選ぶことが最善策ではないということ。大規模で重要なシステムほど、この傾向が顕著です。

COBOLエンジニアの年収

COBOLエンジニアの年収

COBOLエンジニアの市場価値をイメージするため、COBOLエンジニアの求人から年収例と採用条件をみていきます。もちろん年収に振れ幅はありますが、決して安月給という訳ではないことがわかります。言語が古いからといって、年収が低いという訳ではないのです。

求人事例

以下は求人事例です。やはり金融系の案件が多いですね。最新のCOBOL求人情報はTechClipsレバテックキャリアから入手できます。

企業 年収 求められるスキル
A社 550万円~1,300万円 金融機関(リースや銀行、証券など)向けの
システム開発経験
【歓迎する技術領域】富士通汎用機/AS400/
cobol/RPG/cobol環境からオープン環境への
マイグレーション経験など
B社 400万円~800万円 金融系システム開発のご経験をお持ちの方。
生損保業務経験者、オープン系開発経験者歓迎。
cobol経験者は入社直後cobol案件にアサイン、
その後社内教育研修を受けオープン系案件へ
シフトも可能。
C社 400万円~700万円 オープン系言語もしくはcobolでの
開発経験をお持ちの方
D社 415万円~600万円 【いずれかの言語経験者】Java/.Net/
C#/C/cobol/SQL
E社 400万円~650万円 金融系システムの開発経験の有る方。
(言語不問/cobol歓迎)
F社 504万円~840万円 汎用機cobolやPL/Iにて金融分野の
開発実務経験 (目安:3年以上)
G社 400万円~700万円 YPS/cobol及びcobol開発経験を
お持ちの方(勤務地:福岡市博多区)

COBOLエンジニアの市場価値が高い理由

COBOLエンジニアの市場価値が高い理由

エンジニアの市場価値が高い理由:もくじ

理由①:COBOLは開発対象となる業務の付加価値が高い

まず最初に考えたいのが、開発業務の値打ちってどうやって測ればいいでしょう。

開発者(プログラマー)の目線で考えると、生産性が高い開発者かどうかが重要です。例えば以下の様なプログラマーは生産性が高いです。

  • 効率的な開発環境やプログラミング言語を使いこなす
  • コーディングが早くて読みやすくて正確
  • テストやバグの検出を過不足なく行える

次はもっとビジネスライクに生産性を評価してみます。プログラミングコード1行あたりの価値は一体いくらでしょう(普通はこんなことしませんが・・・)。

プログラミングコード1行の価値=そのシステムが作られて捨てられるまでに稼ぐ総利益➗コード行数

ビジネスでは、ちゃんと動いて、損失(バグによる障害など)がなく、利益を挙げ続けるシステムが付加価値が高いシステムであり、開発者の生産性は二の次です。

そしてこれがCOBOL開発者が評価される理由です。
60年前に作られたCOBOLが未だに動いているのはどのようなシステムかというと、以下のようなものが挙げられます。


  • 捨てたくても捨てられない基幹システム
  • Javaなどに置き換えたくても移行のリスクが大きいシステム
  • 昔からあり、理解するのも難しい複雑な業務を行なっているシステム

いずれも重要な業務を行なっているシステムであるゆえにシステムそのものの付加価値が高く、古くても捨てることも移行することも無く、使われ続けているのです。

また、このようなシステムは長年稼ぎ続けますから、プログラミングコード1行あたりの価値も高くなり、
その開発業務はJAVAなどによる一般的な開発よりもずっと高付加価値な業務と言えます。

理由②:COBOLエンジニアは人材不足である

COBOLエンジニアは人材不足である

そうは言っても、現実的にはそんな古い言語は誰もやりたがりません。時代に取り残されてしまうのではないか?と考えるのは当然のことです。

ですから、COBOLをはじめとした古いプログラミング言語による開発現場は、どこも高齢化しています。若い人材が不足しているのです。

人材市場の需要と供給の関係にギャップが生じていますから、若いのにCOBOLができるとなると、十分なアピールポイントになります。

COBOLエンジニアの仕事は、古いプログラムとのお付き合いです。根気のいる仕事で、決して華やかではないですが、会社の根幹を担う業務処理が多く、やりがいはあります。

理由③:【裏技】低給のCOBOLプログラマーから高給のエンジニアにキャリアアップしやすい

低給のプログラマーから高給のエンジニアにキャリアアップしやすい

実際に若いうちにCOBOLでの開発現場にアサインされるとします。対象は金融機関などの重要システム(基幹システム)を希望することで、キャリアアップの土壌を得ることができます。

業務を通じて、プログラミングスキルに加えて基幹業務に関する知識を身に付けることができます。この業務知識が、数年後キャリアアップする鍵となります。

狙い目は大手金融機関

金融機関にとっては、重要な業務を理解している人材は喉から手が出るほど欲しいもの。転職で年収アップしたり、働いている金融機関に登用されることもあります。

そうすると劇的に年収アップが見込め、将来は年収1,000万円も目指せるというキャリアが見えます。

この裏技は、COBOLプログラムを修正したりコピーして追加するような目先の仕事に追われず、業務を理解しながら仕事を進めるのがポイントです。

《年収アップの裏技》
プログラミングスキルで現場に入って、付加価値の高い業務知識を学んで転職する

私の周りにも実際にこの方法で開発委託先に転職し、年収を大幅にアップした人が複数人います。しかも今は、転職者にとって過去最高の環境ですからチャンスです。

転職の注意点として、大卒以上など就業規定に縛りがあることがありますので、転職を希望する企業の規定を転職エージェントに確認してもらってください。

金融機関へのキャリアアップ転職ならdodaの転職エージェント、エンジニアとして転職するならTechClipsレバテックキャリアの転職エージェントへの相談がおすすめです。

COBOLが消えるときはJAVAも消える

COBOLが消えるときはJAVAも消える

それでもやっぱりCOBOLの仕事が減っていくのが心配と思う方にお伝えしたいのは、「COBOLが消えるときはJAVAも消える」という事実です。

未だにCOBOLから脱却できていないシステムが別の言語に移行するのはいつでしょうか?

それはAIによる移行が可能になったとき。

実際、メインフレーム上のアセンブラやCOBOLで高いマーケットシェアを持つIBMが、ワトソン(IBMのAI製品)によって他の言語への変換を事業化しようとしています。
言語から言語へ変換が容易になれば、COBOLだけではなくJAVAの開発者も身の振り方を考えなくてはならないでしょう。

Amazon AWSでCOBOL資産を動かす

メインフレームでCOBOLを動かす際のデメリットは、メインフレームの運用・保守費用が高額となること。この問題を解決するために、AWS上にCOBOLをマイグレーションするサービスも出てきています(正確には、COBOLをAWS上でJavaに変換・コンパイルする仕組みのようです)。

COBOL資産はそのままに、自動変換・コンパイルされてAWS上で動かすことで、システムの運用・保守コストを8割削減できるというもの。内部で変換ロジックがあるとはいえ、資産管理はCOBOLのままですし、こうした環境変化にも適合しながらCOBOLは生き残り続けるでしょう。

出典:日本経済新聞 

COBOLシステムがAWSで動く 維持費「8割減」

かつて主流だったプログラム言語「COBOL(コボル)」で書かれたシステムの保守・運用に悩むユーザーは多い。システムを保守する人材が高齢化し、COBOLプログラムが稼働するメインフレームはコスト高だ。日経 xTECHが今年3月に実施した「COBOLに関する実態調査」では、ユーザー企業に所属する約3人に1人が「COBOLで開発したシステムを稼働させるハードウエアが高い」ことをCOBOLの短所に挙げて…

COBOLエンジニアのキャリアに興味関心のある方の今後のキャリアの参考になりますと幸いです。

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