2020年ソフトバンクが直面している3つの経営危機|3分で理解
本記事の内容
ソフトバンクが直面している3つの経営危機
2020年3月期連結決算で、ソフトバンクは1兆円近い最終赤字を計上し、創業以来の大赤字となりました。現在ソフトバンクグループが抱える危機を3つの視点でみていきます。
[ソフトバンクグループが抱える3つの危機]
- 投資判断の大誤算
- コロナによる株価の下落
- 上場廃止の危機
投資判断の大誤算
ソフトバンクが犯した投資判断の大誤算、最もひどいものがウィーワークへの投資で、1兆円以上の投資が丸ごと含み損になっています。
他にもウーバー、OYOなどへの投資でも大きな含み損を抱え、今季の決算は巨額の最終赤字を計上しました。
ソフトバンクならではの大胆な投資判断が裏目に出て、企業価値を大きく見積もった結果、高値掴みを繰り返す結果になってしまいました。
コロナによる株価の下落
さらに、新型コロナ問題による株式市場への影響がソフトバンクに追い討ちをかけています。
保有資産の大部分を占める上場株は未曾有の事態に反応し、大きく下落しました。
ソフトバンクは一般の事業会社よりも圧倒的に投資が大きく、株式資産を担保に融資を引き出す経営をしているため、影響は甚大でした。
上場廃止の危機
一連の経営危機によって、ソフトバンクはアクティビスト(物言う株主)として有名なエリオット・マネジメントから経営改善要求を突きつけられています。
株価を浮揚させるため、自社株買いやリストラなどの諸改革、さらには一時的な上場廃止までも検討されました。
幸い、ソフトバンクの筆頭株主は孫正義会長であり、ビジョンファンドについても孫会長が決裁権を持っているため、要求に応じるか否かは孫正義会長が決断することができました。
ソフトバンクがその後行った自社株買いなどの対応から、株主からの要請に対して、現在進行形で真摯に応じているとみられます。
孫正義会長は過去も苦境を乗り越えてきた
16歳で高校を中退し、単身アメリカへ留学した孫正義会長。日本に帰国後、ソフトバンクを起業します。
みかん箱の上に乗ってこのように熱く語った翌週には、アルバイトは皆やめてしまい、ひとりぼっちの会社になってしまったそうです。
ITバブルが弾けても倒産しなかった
2000年代初頭、ソフトバンクはITバブルの波に乗り、時価総額は20兆円に。しかしバブル崩壊によって時価総額が2800億円にまで萎んでしまいます。
当時、ソフトバンクの企業価値は実に100分の1程にまで急落してしまったわけですね。
『最も重要なのは、
1番目が志と理念
2番目がビジョン
3番目が戦略です』
孫正義会長は、今回よりもずっと大きな危機を過去に乗り越えた成功体験があり、今回もきっと乗り越えられるはずだと確信しているようです。
『戦術にはいくつか悔いもあります。しかし戦略はブレません。ビジョンですか? 不変ですよ』
ー forbesjapan.com
結論はまだ先
ソフトバンクは巨額の赤字を補填して余りある資産・キャッシュを持っていて、短期での倒産リスクはほとんどありません。
さらに6月23日、ソフトバンクはスプリント株を売却し、2兆円あまりの資金を新たに調達しています。
しかし、米中対立の行方によっては、虎の子であるアリババが上場廃止となり、さらなる含み損を抱える恐れがあります。
2019年7月に立ち上げたビジョンファンド2についても先行きが不透明で、今後計画のあった3号以降のファンドについては融資がつくかも不透明な状況となりました。
[ビジョンファンドは第三、第四と続く計画と見られていたが、見通しがつかない状態となった]
引き続き、ソフトバンクと孫正義会長の経営判断から目が離せません。
今回は以上です。