新型コロナ|大手SIerベンダー企業の対応とポストコロナを考える
本記事の内容
経団連の調査で大手企業のほとんどがテレワークや在宅勤務の制度を導入していることが分かりました。しかし、政府が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために要請した出勤者の最低7割削減を実施しているのは半数ほどにとどまりました。
この調査は、経団連が会員企業1400社余りを対象に今月14日から17日まで行ったもので406社から回答を得ました。
それによりますと、テレワークや在宅勤務の制度を導入しているかどうか尋ねたところ「導入している」と答えたのは97.8%に上りました。
新型コロナが猛威を奮っており、大手SIer各社でも社員の新型コロナ感染者が出ているようです。
各社の状況をまとめると以下の通りでほぼ横並びです。
- 4/7緊急事態宣言を受けて、大手SIer各社社員およびパートナー社員の勤務形態はいずれも原則在宅勤務となった
- 出社した場合でも時差出社、時短、マスク着用、アルコール消毒の徹底などの対策が施されている
個別SIer企業の状況をみていきます。
SIerベンダー各社の感染者と対応状況
SIerベンダー | 勤務形態 | 感染者(各社の広報発表) |
---|---|---|
NTTデータ | 原則在宅勤務 | 常駐パートナー社員1名(2/14) |
野村総合研究所 | 原則在宅勤務 | 社員1名(4/4) |
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) | 原則在宅勤務 | 社員1名(4/9) |
日鉄ソリューションズ | 原則在宅勤務 | – |
日本ユニシス | 原則在宅勤務 | – |
SCSK | 原則在宅勤務 | 客先常駐パートナー社員1名(2/26) |
ISID(電通国際情報サービス) | 原則在宅勤務 | 社員1名(4/17) |
オービック | 在宅勤務または時差出社 | – |
NTTコミュニケーションズ | 原則在宅勤務、窓口受付時間短縮 | 社員1名(4/1) |
SIer各社はどのように社員のコロナ感染を発表したか
各社の発表を見ると、社内の感染者について発表がないケース、または感染確認(1名)と各社横並びです。
各社新型コロナへの取組と感染の有無を公表するのが目的であり、その後感染者が現れても再度発表しているわけではないようですね。
再発防止できるような内容ではないので止むを得ないのかもしれませんが、一部の感染のみを発表しているとすると、ちょっとどうなんでしょう。
【SIerの現実】IT業界は在宅勤務しやすいはずなのに取得できない・・・
IT業界は対面営業やモノを扱う仕事が主体でないため、他の業界と比べてリモートワークがしやすい業界です。
一方でこれまで、多くのSIerでは在宅勤務の制度はあっても利用条件が限定的であったり取得しにくいなど、有名無実化していたのが実情だと思います。
実際在宅勤務をしてみると、通勤時間が削減できるなど多くのメリットがあります。
さらにこれまで在宅勤務に消極的だった人も含めてほぼ全ての社員が在宅勤務を経験したことで、意識も大きく変わったことでしょう。
そのため、今回の新型コロナによる働き方の変革は一時的なものに止まらず、SIer界隈の仕事のあり方を今後大きく変える可能性があります。
【SIer】ポストコロナ3つのシナリオ
1.在宅前提のDX(デジタルトランスフォーメーション)
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
要するに、社内の既存業務をデジタルで置き換えるということです。わかりやすいもので言えば、ハンコ文化や対面での会議を見直して、メールに代表されるような非対面かつ同一時間帯でなくても事務がまわる仕組みに変えていきましょうということです。
ただしこれについては、今回のコロナ騒動がきっかけで強制的に対応を迫られた結果、各社DX対応バージョン1は既に完了と言って良いでしょう。
社員は皆在宅勤務の快適さを知ってしまいましたから。今後予想されるシナリオは、在宅勤務が継続しても、会社が回るようにすることですね。
これがポストコロナの第一シナリオです。
2.社員のノマド化と成果主義
私自身も最も在宅勤務に積極的な企業で働きたいと思ってしまいますから、在宅勤務の快適さは熾烈を極めるIT転職市場にも波及します。
良い人材を集めるためには在宅勤務前提の勤務体型をとるSIerが増えるでしょう。
また社員が在宅勤務するなら、大きなオフィスを都内に構えておく必要はありませんから、企業はファシリティコストを削減することができます。
働き方が自由になる一方、目に見える労働時間やオフィスへの拘束によって賃金が払われるのではなく、成果物に対して賃金が払われる風潮が濃くなっていくものと考えられます。
SIer社員にとって、ノマドワークに憧れてサラリーマンを辞めるといった選択が不要の時代に突入しそうです。
3.文書・文書・文書
これまでの業務では、対面での打ち合わせに頼っていた部分が多々あり、ある意味口頭で補足しながら仕事を進めてきた人も多いかと思います。
しかし在宅勤務や時差出勤など働き方の大きな変化によって、非対面・非同期で仕事が進むようになってきています。
仕事の進め方は対面や電話ではなく、これまで以上に文書・文書・文書になります。
論理的かつ明確なビジネス文書が書ける能力がこれまで以上に求められるようになると推察します。
今回は以上です。参考になりましたら幸いです。
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