マーケットシェア【市場のどこに自分がいるか確認しましょう】

ランチェスター戦略

ここで大切なのは、自分が一位なのか二位なのかビリなのか、はたまたダントツの一位なのかといった、立ち位置を知る事です。またクラスで一位なのか日本で一位なのか、マーケットの規模も意識しなくてはなりません。それらを踏まえ、最適な戦略を立案するのがランチェスター戦略の基本的な考え方です。

それではマーケットシェアについてみていきます。

マーケットシェア(以降、シェア)とは、ある市場における各社が占拠している割合のことです。マーケットを独占している例外的なケースを除き、常に複数のプレイヤーで分け合っています。ではシェアを何%とすることを目指せば良いのでしょうか?もちろんケースバイケースですが、

ランチェスター戦略ではマーケットの41.7%のシェア(=安定的シェア)獲得を目指します

多くの業界でこのシェアを目指して各社が激しく競い合っています。敵との差は局地戦の場合は3倍、広域戦の場合は第二法則によって敵との差が2乗され効果が大きくなるため、√3倍(≒1.7倍)の差があれば十分、安定多数と言えます。

ランチェスター戦略では、これらを3:1(サンイチ)の法則、または射程距離理論と言います。

  • (フェーズ1)分散型    各プレイヤーの差が少なく、ドングリの背比べ状態。
  • (フェーズ2)三国志型   勝ち組3社で競いあっている状態で、他は負け組。
  • (フェーズ3)二大寡占型  勝ち組2社で競い合っている状態で、他は負け組。
  • (フェーズ4)絶対的独占型 勝ち組1社が42%を超え、2位を√3倍以上引き離している状態。
  • (フェーズ5)完全独占型  勝ち組1社が74%を超えている状態。

大切なことは、時間の流れとともにフェーズ1からフェーズ5に推移するということです。つまり、(フェーズ1)ドングリの背比べの状態は長く続かず、(フェーズ2)ビッグ3と負け組となり、さらに(フェーズ3)ビッグ2と負け組となっていく。そして、(フェーズ4)一人勝ち、最終的に(フェーズ5)一人勝ちの圧勝へと推移していくのです。

群雄が割拠する状況からトーナメント形式のように淘汰が進み、最後は誰かが天下統一する戦国時代のようですね。今日では、多くの業界で合併・統合・買収の頻度が増し、この流れが加速しています。弱者の生き残りは非常にシビアなものです。

ですから、マーケットがいつ次のフェーズに移行しても淘汰されないよう、意識しなくてはいけません。もしあなたの戦場が「分散型」なら、上位3社までに入っておかなければ、いずれビッグ3しか残れない「三国志型」になってしまいます。同様にあなたの戦場が「三国志」型なら、上位2位までに入っておかなければならないのです。同様に、「2大寡占型」なら1位でなければならないと言うわけです。

ただし、分散型⇒2大寡占型⇒三国志型⇒絶対的独占型⇒、とビッグ2時代が先に来て、後にビッグ3時代が来るというケースも起こり得ます。これは、市場地位ごとに成長の法則が異なり、2位がジリ貧となって、3位が漁夫の利を得て成長することがあるからです。

大きな市場で小さなシェアでは時間とともに潰されてしまいます。狭い市場で大きなシェアを目指しましょう。

ランチェスターの市場参入戦略

大企業の新規事業がよく失敗するのは、新規参入ではその競合局面で弱者であるのに、本業が強者であることを社員が引きずって、弱者意識がないことが原因です。

かつてキッコーマンが焼肉のタレに進出しても、キャノンがオフィスコンピュータに進出してもうまくいかったのは、弱者意識が持てなかったのでしょう。

一方、花王はトイレタリー業界の強者ですが、エコナで食用油に参入した時も、ヘルシアで緑茶飲料に参入した時も、鋭い切り口の一点集中主義でマーケットシェアを獲得しました。これこそが弱者の戦略です。

ランチェスターの市場参入戦略の結論は、「市場参入は弱者の戦略が基本」になります。市場開発であれ、新商品開発であれ、もちろん多角化も、参入時は弱者の戦略でのぞむべきです。

しかし、ライフサイクルが成長期の場合は、スピード勝負、体力勝負で、誰がその陣地を奪うかの争いになります。その際、強者の戦略の典型である「物量作戦」で一気に勝敗を決しなければならないのです。後発の強者に根こそぎシェアを取られないよう、弱者であっても借金してでもやるべきです。

強者は、先発した弱者のことを“モルモット”といい、大手企業の実験台として扱います。先発して市場をリードし、成長期を迎えたならば、経営規模が大きかろうが小さかろうが、強者の戦略で、勝負をかけなくてはならないのです。

そうすれば特定の市場で大きな地位を締め、たとえ強者に買収されることになったとしても、良い条件を獲得することができます。