ランチェスター戦略の原理原則はたったの2つです【単純な法則です】

ランチェスター戦略

ランチャスター戦略の解説記事、第2弾。ビジネスパーソンから経営者、起業家など、それぞれのビジネスシーンで成果を積み上げるためにはランチェスター戦略は非常に有効です。本記事では、戦略の原理原則となる2つの法則について解説します。

ランチェスター戦略は、共通の原理原則である「ランチェスター第1法則」と「ランチェスター第2法則」から導かれます。今回は戦略の中身に入る前に、この超重要な2つの法則について順に見ていきましょう。

ランチェスターの法則

「ランチェスター第1法則」
狭い範囲で、1対1で戦うような武器(例えば刀)を使い、敵と接近して戦う場合に適用される

「ランチェスター第2法則」
広い範囲で、複数対複数で戦うような武器(例えば機関銃)を使い、敵と離れて戦う場合に適用される

それでは具体的な法則の内容を見ていきましょう。

ランチェスター第1法則

槍や刀のような1対1の戦いをする武器を使い、狭い範囲で敵味方が接近して戦う場合に適用される法則です。またの名を「一騎打ちの法則」とも呼びます。

具体的には、以下の戦いが第1法則の対象となります。

  • 単発兵器
  • 局地戦
  • 接近戦

古代・中世の戦いは兵器が単発なので、この法則が当てはまります。また、現代でもゲリラ戦などは、接近戦のため該当します。

第1法則では、戦闘力を以下の式で算出することができます。

戦闘力=武器性能×兵力数

つまり、同じ武器をもって戦う場合、兵力数が多い方が勝つという単純明解な理論です。

また、相手よりも優れた武器を持っていれば、兵力数が少なくても勝てるということです。

つまり、敵に勝つためには兵力数か武器性能で相手を上回ればよく、このことを熟知していたのが織田信長と豊臣秀吉です。
若き日の秀吉はゲリラ戦を得意としていましたが、「毛利攻め」に代表される中国地方攻略を信長に任されて以降は常に敵兵力数を把握し、それを相当数上回る兵力数をもって戦に臨んでいます。

山崎の合戦…秀吉軍40,000人 VS 明智光秀軍17,000人
賤ヶ岳の合戦…秀吉軍75,000人 VS 柴田勝家軍20,000人
九州征伐…秀吉軍150,000人 VS 島津義久軍20,000人
小田原征伐…秀吉軍200,000人 VS 北条氏政軍30,000人

一方、信長は武器性能で敵軍を圧倒する戦法を用いていました。
火縄銃で武田騎馬軍団を粉砕した長篠の合戦はあまりにも有名ですが、3間半の長槍を用いたことでも知られています。

槍は戦国時代にドンドン長くなっていったそうです。ちょうどボクシングのリーチ(腕の長さ)や、鉄砲の飛距離と同様に、槍も長い方が有利で、当時3間(約5m40cm)まで長くなったそうす。これは、槍を振り回せる限界の長さです。

しかし信長は相手を突き刺すのではなく、長槍で兵の上から叩きつければよいのでは、と発想して、さらに半間(約90cm)長くしたそうです。

背景として、信長・秀吉の兵は他国と比べてどうも弱かったみたいです。
だから弱兵でも勝てるように、兵力数や武器で圧倒する知恵を生み出したのではないでしょうか。

ではこれを現代のマーケティング戦略に当てはめるとどうなるでしょうか。

兵力数はセールスマンの数や売場の面積に置き換えることができます。
武器は商品力や情報力に置き換えることができます。

あなたの職場、すなわち戦場で、敵に対して兵力・武器は上回っているでしょうか?

再度マーケティングの視点でこれを振り返ってみましょう。

企業やビジネスパーソンがお客様に満足していただくには、そのお客様を知り、要望に答える必要があります。加えて、そのお客様が意識していないような潜在ニーズまで把握しなくてはなりません。

つまりランチェスター戦略の接近戦とは、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション活動のことなのです。

ランチェスター第2法則

まず機関銃を思い浮かべてください。機関銃は一人一人を狙い撃つのではなく、敵軍というかたまりに当たるように撃つもので、その損害は確率的なものです。

これを確率兵器といいます。近代以降の戦争の武器はほとんどが確率兵器なので、近代兵器という呼称の方が一般的です。

確率兵器を用いて、広範囲に敵味方が離れて戦う場合に適用される法則が、第2法則です。具体的には、以下の戦いが第2法則(またの名を「集中効果の法則」と呼びます)の対象となります。

  • 確率兵器(近代兵器)
  • 広域戦
  • 遠隔戦

近代・現代の戦争では、ゲリラ戦を除いてこの法則に従います。

戦闘力=武器性能×兵力数の2乗

兵力数は二乗に作用するので、兵力数が多いほうが圧倒的に有利となります。兵力数が少ない方は、よほど武器性能が敵を上回らない限り勝ち目はありません。
そのため、第二法則が支配する広域戦では兵力数が勝敗を決すると言っても差し支えないのです。

たとえば、同じ性能の戦闘機:「M軍100機 VS N軍100機」を想定してみましょう。

M軍は常に全機投入されるのに対して、N軍は一回に25機づつ投入するとした場合、結果はどうなるでしょうか。仮にM軍とN軍が4回戦を戦う場合、
どちらが勝って、何機残るのか計算してみると…

M軍勝利は当然のこととして、N軍が全滅するのに対して、M軍は計算上、
86.5機も残るのです。

つまり、決して戦力を逐次投入してはならないのです。

日本史の中で最も有名なのは、太平洋戦争におけるガダルカナル島の戦いでしょう。米軍兵力20,000人に対して、

日本軍第1次総攻撃  2,400人(ほぼ全滅)
日本軍第2次総攻撃  6,500人(ほぼ全滅)
日本軍第3次総攻撃 15,000人(ほぼ全滅)
日本軍第4次総攻撃  5,000人(ほぼ全滅)

日本軍は兵力を逐次投入して、結局のべ2万7千の兵を失い、
何も得るものはありませんでした。

はじめから2万7千を投入していれば、ガナルカナル島を占領し、
戦局を変えることができたかもしれません。
しかしなぜ、そんなことが起きてしまったのでしょう。

敵兵力数を把握せず、正しい戦略もなく、精神論で戦っていたことが原因です。
旧日本軍には、わが軍が負けるはずがないという根拠のない思い込みと根性論が戦略を支配していました。

私たちがある種、人生を賭けて行なっているビジネスという戦場においても、こんな悲惨なことにならないようにしたいですね。

まず第一に、今行なっている戦いは局地戦なのか、広域戦なのかをしっかり意識する必要があります。第二に、競合との力関係を質的、量的に比較します。

ここで勝てる可能性があれば、そこに資源を一点集中して圧倒します。
逐次投入はダメでしたね。でも一点集中するには勇気がいるものです。

ヒヨって、中途半端に保険をかけてしまうかもしれません。
そんな時は改めて、小出しにした戦力がガナルカナル島の悲劇を産んだことを思い出してください。

ランチェスターの営業戦略

ランチェスターの法則を営業パーソンへ応用することを考えます。

営業パーソンの攻撃力・攻撃量は、一騎打ち戦・接近戦・局地戦といった第一法則型の戦い方となりますので、第一法則を応用します。

ただし、担当営業・技術スタッフ・上長などのチームで攻撃するチームセリングが上手く機能している場合は、相乗効果を発揮するので第二法則が適用されます。

つまり1人のスゴ腕営業パーソンよりもチームプレイが強いのです。
ランチェスターはスゴ腕営業パーソンづくりよりも、普通の人が普通に頑張ればそれなりに成果があがることを重視します。

次に、営業パーソンへの応用は「攻撃力の法則」と「攻撃量の法則」の2つの原則があります。

  • 営業パーソンの攻撃力=攻撃の質×攻撃の量
  • 営業パーソンの攻撃量=滞在時間×訪問回数

これを2つ合わせると、

営業パーソンの攻撃力=攻撃の質×(滞在時間×訪問回数)

「質」とは営業パーソンの質ですが、以下の3つの視点でとらえることができます。

  • 第1に、スキルだとかモチベーション、資質といった「人材の視点」
  • 第2に、活動を「見える化」する「プロセスの視点」
  • 第3に、時間の最適配分を行う「生産性の視点」

滞在時間は質を示し、訪問回数は量を示す。これもまた真理です。
昔はいざ知らず、この忙しい今日において世間話ばかりの中身のない商談で長時間滞在することは不可能です。

提案性がなければ長時間滞在できないことから質を示します。
「滞在時間×訪問頻度」とは時間を長くすれば、回数は減るという二律背反の関係にあります。滞在時間を増やすか、訪問回数を多くすべきでしょうか?

一般には訪問回数を重視します。心理学でいう単純接触効果(ザイアンスの法則・・・会えば会うほど親しみが沸き、好意が芽生える)があるからです。
しかし、エンジニアリング営業など高度に専門的な商談を要する場合は細切れの時間では非効率です。

数時間をとった重い商談が有効ですから、必ずしも常に頻度を重視しなくてはならないという訳ではありません。

また、ITによる高度な生産性向上を求められるようになってきており、メールやチャットを用いることで対面時間を減らす傾向があります。

こうなると、訪問回数や滞在時間だけを判断基準にするべきではありません。
ブログ、メール、LINE、電話、youtubeなど、あらゆるチャネルを有効活用し、効果効率を追及していくべきです。