【目標設定を誤らないために】ランチェスター戦略の3つの目標

ランチェスター戦略

【目標設定】ランチェスター戦略の3つの目標

ランチェスター戦略は様々なビジネスシーンで効果を発揮します。そして、その戦略上の目標はいずれの場合でも、以下の3つのいずれかになるはずです。

  • 一点突破を目指せ
  • 弱者を叩き、強者を目指せ
  • ダントツトップを目指せ

それでは、順に見ていきたいと思います。

一点突破を目指せ

弱者の基本戦略が一点集中主義です。ターゲットを絞りに絞って、その対象とする範囲を広げないことが大切です。自分の持つリソースを注ぎ、まさに風穴を開けることを目指します。ちょうど風船に小さな穴が開いた時のように、いったん突破すればその影響は広がります。

より具体的に見ていきます。まずは一点突破したい市場を選択します。その際、以下の点に注意してください。

  1. カウントできること・・・市場規模を把握できなければならない
  2. アクセスできること・・・市場へアプローチできなければならない
  3. ボリュームがあること・・あまり小さすぎては食べていけない

自らの持つ強みを活かす

自分の持つ強み一本に絞って勝負をかけましょう。決して強くなりたいとか、弱点を克服したいという動機で戦場を選んではいけません。一番勝ちやすい戦場を選ぶのが王道です。弱点の克服は戦場ではなく、別の場所でやるべきです。

「顧客の視点、評価」で選ぶ

自分では強みと思っていても、顧客がそれを評価しなければ意味がありません。これは当たり前のことのようで、簡単なことではないのです。自社商品の機能に惚れこんでいても、それが顧客にどのような価値をもたらすものなのか、そして類似品と相対的に比較してどうなのかを冷静に分析したうえで戦うようにしましょう。

顧客にとってわかりやすく表現する

こうして強みから具体的な1つの戦場を選んだら、それを顧客にとってわかりやすく20秒以内で説明しましょう。「私は何屋で、得意技は何、あなたに何をして差し上げます」ということをまとめておくと良いですね。

色々なタイプの顧客がいますが、顧客はみんな忙しいし、売り込まれるのが嫌いで、相手が経営者であればせっかちな人が多いです。ですから、結論と相手のメリットだけをまず語り、相手に聞く耳をもたすことが大切です。

さらに、自らを権威づけることができれば効果は絶大です。顧客の方から買いたい、仕事を頼みたいとやってきます。特許や、わかりやすい実績などがあれば、それを上手にアピールすることが重要です。

そういうものがなくとも、専門分野についての情報をまとめ、自らの意見を交えてブログなどで情報発信することによって専門家としての地位を作ることも可能です。
専門分野のプロフェッショナルとして情報発信すれば、決して押し売りなどしなくて済みます。

こうしてブランド力を磨くことは、ファッション業界だけのものではないのです。

弱者を叩き、強者を目指せ

弱きを叩き、強者を目指す。これをランチェスター戦略で、「足下の敵」攻撃の原則と言います。かつては「弱いものいじめの法則」と言われていました。意味は、そっちの方がわかりやすいのですね。つまりこういう事です。

  • 競争目標は自分より上位の相手とする(差別化戦略)
  • 攻撃目標は自分より「下位」の相手とする(ミート戦略)

人間関係において、弱いものいじめは絶対にやってはいけませんが、ビジネスは非情な面もあるのです。

シェア順位がすぐ下にある企業を攻撃目標とし、ここからシェアを奪うのです。かつての日産は、上位のトヨタとはりあい、売上とシェアをズルズルと落としていきました。日産は下位のホンダを叩くべきだったのに、このように強者を叩くと弱者は消耗してしまうのです。

まず初めに、競合局面ごとの各社のシェアを明らかにしましょう。

自社が2位なら、足下の敵、すなわち1ランク下の3位を「攻撃目標」として叩く戦略を立案します。その際、3位のマネをして(ミート戦略)、3位の戦略を封じ込めます。

こうして3位のシェアを奪い、その差を拡げ、自社の地位を安定させるとともに、1位との差をじりじりと縮めていくのです。1位との差がほとんどなくなったら、いよいよ1位と一騎打ちで勝負です!

ただし、2位は1位から叩かれる立場にあることを忘れてはいけません。1ランク上の企業を「競争目標」として常に意識しておく必要があります。

具体的には差別化をし、1位との競合局面をできるだけ避けることが大切です。どんなに強い強者でもあらゆる局面で常に強いとは限りませんから、差別化によって強者の死角、盲点を探し、そこをつくことが有効です。

自社よりも1ランク上の企業を競争目標、1ランク下位企業を攻撃目標とする。下位企業を攻撃目標として叩くことがポイントです。そして、これは競合局面ごとに判断しなくてはなりません。例えば、東京ではA社が攻撃目標でも、大阪ではB社が攻撃目標、というように戦場ごとの戦局を分析しましょう。

歴史的な事例ですと、信長は武田信玄を恐れ、戦いを避けようとあらゆる手立てを講じたと言われています。同様に家康は信長に自分の長男の命を差し出してまで争いを避けました。いずれ戦う時は来るとしても、それまでは強者との衝突を避けて弱者を叩き、自身の方が大きくなってから戦いを挑むのが勝者の常なのです。

ダントツトップを目指せ

強者編

一位とダントツトップでは全く意味が違います。2位を射程距離圏外(局地戦の場合は3倍、広域戦の場合は√3倍)に引き離してダントツトップになると、立場が安定し、利益性がいっそう高まります。

さらに、競争に巻き込まれなくなるのです。供給量が多いことがスケールメリットとなり、利益率も向上し、より儲かるようになります。信頼度も増して、人材確保や金融取引の条件も有利なのです。

つまり、ダントツトップを目指すのは特別な事ではなく、基本戦略なのです。特に弱者は、自分のビジネスの領域を細分化し、勝ちやすい部分を選択し、そこに「一点集中」し、狭い範囲でもダントツトップの地域を築くことが、競争戦略として大変有効なのです。

さらに、ダントツトップになると代名詞にもなりえます。付箋紙のことはポストイットと呼んでしまうのも、検索することをググると言うのも、表計算ソフトをエクセルと呼んでしまうのもこの現象です。

ダントツトップになると、その分野=その会社というイメージができますから、営業も強気でできます。その分野を取り扱っているのに、一番有名なNo.1ブランドを取り扱っていないと、格好がつきません。ですから、仕入れざるを得ない状態となるのです。

取引条件が有利となり、ピンチにも強く、何らかの影響で市場が縮小した時にも、ダントツトップであれば最後まで残る可能性が高いと、いいこと尽くしです。強者は特定市場で1位なのだから、次に目標とすべきはダントツトップなのです。

では、弱者はどうすればよいのか?1位でないから弱者なのであって、その先のダントツトップなんて遠すぎる目標ですよね。。

弱者編

弱者は、ビジネス領域を細分化し、ここで勝つんだという一点を定め、そこに経営資源を集中させる「一点突破」でダントツトップを狙います。この考えはランチェスターにとどまらず、「選択と集中」「重点化」など言葉は変わっても同じ意味で、多くの戦略理論でいわれていることなのです。弱者の戦略の基本中の基本といって良いでしょう。

しかし、「一点突破」はとても実践が難しいのです。集中しないところは後回しにするということになります。そのため、売上・利益がダウンする可能性が高いのです。

では住宅建築の地場工務店を事例として一点突破の戦略を立案してみます。全国区では積水ハウスをはじめとする大手ハウスメーカーに対して勝ち目がありません。県でみても、大手メーカーや地域のリーダーに対して歯が立ちません。そこで、市区町村単位では?さらに町丁目単位までブレイクダウンするとどうでしょうか?

地元の町XX丁目まで細分化すると、地場工務店であっても、大手ハウスメーカーや地域のリーダーと比べて年間建築棟数が上回っているケースがあるはずです。自社が10棟でビルダー、メーカーが3棟と2棟なら、自社がダントツトップです。

地域を絞り、その中でダントツトップとなると、収益がグンとよくなります。それは、営業→契約→納品→回収→アフター/メンテナンスというように、サイクルで収益を上げることができるからです。

客先が狭い範囲に集中していると効率が格段によくなるのです。地域以外にも、ビジネスの領域を絞る方法はいろいろあります。

顧客層を絞る。法人なのか、個人なのか。法人であれば業種や規模。個人であれば、男性か女性か、年齢層、価値観、ライフスタイルなど戦場選びの切り口は様々です。

「ゴリラの鼻くそ」なる珍ネーミングの豆菓子は、そのネーミングゆえに動物園のお土産として、その売店に販路を絞って成功した事例です。

今では動物園以外にも流通していて、キャラクターグッズも売っています。弱者は市場を細分化し、局地戦で戦い、細分化した小さな領域でダントツトップを獲得すべきなのです。そして、その範囲を少しずつ広げていけば良いのです。

地域に根ざしたビジネスならまず、細分化した地域でダントツトップになる。その過程の中で得意先をつくり、充分に力を蓄えたら、最後はダントツトップとなるような商品をつくる。ここまでくれば弱者は強者になっているはずです。

逆に、どんなに大きな企業でも、いつも2番手だと実は経営的には不安定なのです。ですから、どこかでダントツトップとなるものをつくるべきです。しかし理屈はわかっても、今以上の売上・利益を確保する自信と覚悟がなければ、なかなか踏み出せないものです。

事例として酒屋さんで考えてみると、これまでは半径500メートル商圏でやっていけましたが、今は難しいでしょう。そこで、もしこの酒屋さんがワインで一点突破を計る戦略をとるなら、商圏範囲は広げないといけません。それこそ、全国をマーケットにする発想です。それには集客力が必要であって、さらにブランド力があれば一層良いのです。

かつては、日本全国を対象に広報PR、広告販促を行って集客力やブランド力を上げるというのは、強者だけが使える戦略でした。

しかし今日ではブログがありyoutubeがあり、いくらでも情報発信ができるのです。すなわち、強者・弱者の違いなく「情報受発信力」が強いものが勝つ時代になったのです。

  • アナログの世界は第1法則型
    【情報発信力=情報の質×量】
  • ネットの世界は第2法則型
    【情報発信力=情報の質×量の2乗】

ネットの世界は双方向の情報交換、多数対多数の交換も簡単にできますので、「量が2乗に」効いてくるのです。弱者は第1法則型、強者は第2法則型で戦え、というのがランチェスター戦略の原理原則ですが、ネットの世界は第2法則の戦いになり、弱者・強者の区別なく情報発信力が強いものが勝ちます。

弱者にとってはネットの世界は強者と対等に戦うことのできる土俵であり弱者逆転の可能性に満ちた世界なのです。ただし、アナログも接近戦も大切です。こうしたネット戦略はまた別に記事にしたいと思います。

戦場探しに困ったら

強みを活かした戦場が見つからないという人もいるでしょう。どれをとってもホドホドで、これといった特徴はないという会社は実に多いのです。しかし、それでも強みはあるはずです。ただ、気がついていないだけ・磨き上げていないだけなのです。

同じビジネスを長くやっているなら、必ず強みがあるはずです。顧客は他社でなく、あなたの会社を選んでくれているのです。なぜ、あなたの会社が顧客に選ばれたのか、そこに磨き上げるべき強みがあります。

たとえ商品の優位性がなかったとしても、すばやい対応、顧客との関係が緊密、きめ細かいサービスをしているといった、選ばれた理由があるはずです。例えば、さりげなく顧客に聞いてみてはどうでしょうか。ダントツトップでなくても、比較的良いと思えることなら、必ずいくつかあるはずです。

小さな強みでも、いくつか掛け合わせることによって、相乗効果で立派な武器となり、強みを形成します。以上を踏まえて、もう一度戦場を考えてみてください。

「強み」の作り方

実は、強みを過去の経験から探す必要はありません。新たに強みを作ってしまうこともできるのです。

一つは他業界のやり方をモデルとすることです。自分の業界で非常識とされていることがを他業界のうまいやり方をモデルに取り込むことができれば、大きな強みになります。

二つ目は、顧客に密着することで強みが生まれます。これは、誰でも努力さえすれば必ずできることです。顧客一人一人のことを良く知り、マメにコミュニケーションすることが重要です。コンタクトを欠かさず、顧客に役立つ情報や喜ばれることを提供しつづけるのです。

心理学ですが、人は接触すればするほど相手のことを好きになります。小学生の時、クラスメートで必ず好きな異性ができたように、職場結婚が多いように、人間関係は接触すればするほど親しみがわくものです。

こうして顧客との緊密な関係を築くことは、やろうと思えば誰でもできる強み作りです。これを続けやすくするために仕組みを作るのも有効です。システムである程度は自動化でき、それをベースにすれば手間暇は省けて、実践しやすいのです。

三つ目は、好きなことをやることです。もちろん、得意なことがあれば、それをやるべきですが、得意なことがなければ、何かをトコトンやって得意になるのが近道です。好きな事を仕事にすれば熱意が高まり、学習意欲が増し、夢や希望に通じるはずです。そうした姿は、顧客の心も動かすのです。

以上を繰り返し実践し、ダントツトップとなる事を目標に進みましょう!