【基礎から解説】ランチェスター戦略入門【企業・事業で使える】

ランチェスター戦略

今後、ビジネスで今よりも大きな結果を出したいと思っていますか?それなら、ビジネス戦略のバイブルといわれるランチェスター戦略を学習するのがおすすめです。まずは一般論として、ビジネスにおける戦略の重要性を解説します。また、戦略の中でもランチェスターを学ぶべき理由について解説します。ランチェスター戦略を基礎からマスターしたい方は必見の内容です。

本記事のテーマ

ビジネス戦略のバイブルといわれる「ランチェスターの戦略」について解説します。この記事を読めば、以下のことがわかります。

  • 桶狭間の戦いのように、弱者が強者を打ち負かすには?
  • 力やお金が無くても(=弱者)、ビジネスで成功するための基本戦略とは?
弱いこひつじ
はじめまして。ぼくは弱いこひつじです。
桶狭間の戦いは一見すると無理ゲーですが、戦略的に勝ったんですね。
僕が狼くんをこらしめるにはどうしたらいいんでしょうか。

どうしてビジネスに戦略が必要なの?

戦略の重要性を理解するために、まずはビジネスでの成功事例からみていきます。

成功事例:「ワンダ・モーニングショット」

この成功事例から学べきポイントは以下の2つです。

  • 「朝専用」と言い切るだけの弱者の戦略を立案
  • 結果、力もお金も使わずにマーケットシェアを獲得

この商品の販売戦略がどのようにして成功を納めたのか、順にみていきましょう。

缶コーヒー市場は、自動販売機の数で圧倒するコカコーラ社のジョージアが一強です。

その次にUCC、ポッカという専業メーカーが続きます。
つまり、アサヒもキリンもサントリーもこの分野では弱者です。

弱者が強者に勝るなら、顧客・消費者もあっと驚くような予想外の手を打たなくてはなりません。

そこでアサヒは「朝専用」という奇襲を打ち出しました。

「朝専用」といったときに、昼間や夜は売れなくてよいのか?
と思ってしまうのが、普通の発想です。
実際、アサヒ内部にも、そういう反対意見もあったそうです。

でも、担当者はデータの裏づけをもとに押し通します。
43%の人が缶コーヒーは朝飲む、という調査結果を同社はもっていました。
コンビ二のPOSレジのデータでは60%が午前中に売れていました。
うち80%が男性で、その80%が20代〜40代。

つまり、缶コーヒーは「働く男が朝、気つけのように飲む」という飲用シーンに膨大なマーケットがあったのです。

そして、「ワンダ・モーニングショット」はヒットします。
年間1,500万ケースを売り、同社を清涼飲料市場5位に押し上げたのです。

その後、サントリーは「休憩中」や「仕事中」、ポッカは「ドライバー専用」と飲用シーンや飲用者を特定する缶コーヒーが発売されましたが、二番煎じでパッとしませんでした。

ところで、朝専用というのはどんなブレンドなのでしょうか。
発売後、しばらくたって、朝は眠気をさまさなければならないのでカフェイン含有量を多くしたものを発売したようですが、当初の中身は他のものと全く同じだったそうです。

まさに奇襲ですね。

弱者には生き残りのための戦略が必須

戦略なしに戦うことは、羅針盤なしに航海するようなものです。どこへ行くのかわからない船に身を任せたりするでしょうか?一生懸命漕いでも、その努力が何処に向かうためなのか判らないとしたら恐ろしいことです。

でも実は、何となく目の前の仕事をこなしたり、やっているつもりになっている社会人は多いのです。

ビジネスにおいてもゴールを明確にし、羅針盤を頼りに目的を達成することを考えましょう。

弱いこひつじ
社会では勝組・負組に分けられてしまうから、生き残るための戦略を持つことが重要なんですね

  • 弱者でも強者でも、戦いのルールや勝ち方の基本パターンを知ることが重要
  • それを実行すれば、他者を圧倒し、あらゆるビジネスで生き残ることができる

戦略をもって仕事に取り掛かろう

ところが、日本の経営者もビジネスパーソンも戦略に対して疎い方が多いのです。例えば次の3つの質問に対して、明確な答えが頭に浮かぶでしょうか。

  • あなたの会社や部署の明確な戦略はどのようなものか?
  • その戦略は現場において誰がどのようなシーンで実行されているか?
  • あなた自身にも明確な目標とそれを実現するための戦略があるか?

具体的な答えが浮かんだ方はプロフェッショナルですね。一方で思うように答えが出なかった方がほとんどだと思います。そういう方にこそ、ランチェスター戦略を学ぶメリットがあります。

弱いこひつじ
メェ〜
(なんにも思い浮かびませんでした・・・)

なぜランチェスター戦略が優れているのか

戦略を知り、実戦すれば圧勝できるにも関わらず、多くの人がそれを実践できていないわけですから、これはチャンスです。

また、数ある戦略を説いた古典の中でもランチェスター戦略がおすすめな理由は以下の2点です。

  • 短時間で誰でも学べる
  • わかりやすくシンプルで実戦的

ランチェスター戦略は1970年代、オイルショックにより戦後初の長期的な大不況の時、多くの企業がこれを学び、勝ち残っていった日本のビジネス戦略のバイブルとも呼ばれるものです。

当時、トヨタ、松下、イトーヨーカドー、ブリジストン、アシックスなどがこれを実戦し、成功しました。
この戦略思想はコンサルタントの故・田岡信夫氏が集大成したもので、日系のコンサルタントは多かれ少なかれ、田岡先生の影響を受けているといわれます。

30年以上も前に開発された競争戦略理論だから古いのではと思われるかもしれませんが、ランチェスター戦略は原理・法則です。法則というのはニュートンの万有引力の法則のように、決して古びるものではないのです。

さらに、ランチェスター戦略もその実戦手法においては進化、発展してきており、常にバージョンアップされているということ。地域戦略や営業パーソン戦略においてシステムを活用するなど、実戦を通して新しくなっています。

今日では、大企業はもちろん、中小零細企業、ベンチャー、一人社長に到るまで、ランチェスター戦略の活用場面は広がり、多くの成功事例が出ています。

ソフトバンク、HIS、マツモトキヨシなどの創業期の成長戦略にも活用されています。

稀代の戦略家はランチェスターを学ばずとも肌感覚で心得ている

織田信長もナポレオンも、ランチェスター以前の人ですから、ランチェスター戦略を学んでいません。しかし、勝つための戦略の重要性を理解していました。

ランチェスター戦略は、稀代の戦略家でなくても学習努力によって獲得できるよう体系化されているので、誰でも身につけて実践することができる点が優れているのです。

ランチェスター戦略の成り立ち

次にランチェスター戦略が誕生した経緯を説明します。ポイントは以下の2点です。

  • イギリスで考案され、アメリカで用いられた軍事戦略が、1970年代に日本でビジネス戦略として広まった
  • バブル崩壊以降はマーケットの競争環境が激しくなり、経営者もビジネスパーソンも生き残りをかけてランチェスター戦略を用いるようになった

それでは具体的にみていきましょう。

ランチェスター戦略は戦争の理論です。

インターネットやロケット、電子レンジが軍事技術から生まれたのと同様に、戦略は戦争の中から生まれ、政治経済や経営など様々なシーンに応用されてきました。

戦略を説いた著名な書物を2つ挙げます。

  • 戦略のバイブルといわれる「孫子の兵法」
  • 戦略と戦術を明確に分けて定義したクラウゼヴィッツの「戦争論」

孫子もクラウゼヴィッツも、ランチェスター以前の理論は思想、哲学、観念でした。

一方、F・W・ランチェスターは戦争をはじめて定量的・統計的・数学的に取り扱ったのです。これ以降、戦略は思想学から科学に進化したのです。

F・W・ランチェスターの経歴

経歴をみていきます。

  • F・W・ランチェスター(1868〜1946)は軍人でなく、イギリスのエンジニア
  • 自動車開発に取り組んでいたが、第一次世界大戦が勃発すると戦闘機の開発に携わった
  • 自ら開発した戦闘機が実戦でいかなる戦いをしているのかに興味を持った
  • 戦闘の資料を統計的に分析し、発見したのが「ランチェスター法則」である

ランチェスター法則では、戦いにおける(1)兵力数、(2)武器性能と、(3)損害量の関係を2つの数式で表しました。これが、ランチェスター戦略の原点となりました。

ランチェスター戦略の発展

ランチェスター法則はさらに、第二次世界大戦中にB・O・クープマンらアメリカの数学者たちの研究によって応用され、発展しました。

これが「ランチェスター戦略モデル式(クープマン・モデル)」となり、対日戦などの戦争で用いられ、多大な成果を生みました。

軍事戦略から経営戦略へ

戦後、これらの法則・理論はOR(オペレーションズ・リサーチ)と呼ばれる経営戦略に応用されるようになり、フォルクス・ワーゲンのカナダ進出などで成功に導いたのです。

日本では、「ランチェスター法則」「ランチェスターモデル式理論」は、1960年代に研究され、経営コンサルタントの田岡信夫先生(1927〜1984)によって、販売にける競争戦略として再構築され、理論から実務に到るまでが体系化された。日本では一般にこれを「ランチェスター戦略」と呼んでいます。

70年代、オイルショックによる大不況にあえぐなか、トヨタ、松下、イトーヨーカ堂などの多くの大企業が、これを活用し、成功したことから、ランチェスター戦略はビジネス界においてブームとなりました。

また、経営戦略、マーケティング、コンサルティングが未成熟だったこの時代、ランチェスター戦略は多くの専門家にも少なからぬ影響を与えました。ランチェスター戦略が「日本の販売戦略のバイブル」といわれるゆえんです。

つまり日本におけるランチェスター戦略とは、ランチェスター法則・ランチェスター戦略モデル式理論をベースに、田岡信夫氏が構築した販売戦略、競争戦略のことなのです。

弱いこひつじ
次回は、ランチェスター戦略の原理原則は2つだけだよ、と言うお話です。